【芸人イチオシ】KOC3位で人気急上昇の「や団」爆発力の裏にあったネタの「黄金比」とは!

[ 2022年10月29日 09:30 ]

【芸人イチオシ】取材に応じた「や団」(左から)ロングサイズ伊藤、本間キッド、中嶋享
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 コント日本一決定戦「キングオブコント2022」(KOC)で初の決勝進出を果たして3位に入った結成15年目のトリオ「や団」。ダウンタウンの松本人志(59)から「狂気と笑いのバランスが絶妙」と言わしめた奇想天外なネタが持ち味だ。KOC第1回から出場し続けた不屈のトリオは今年やっと“正解”にたどり着いた。

 多くの芸人にとって40歳は1つのボーダーラインと言われる。このままお笑いを続けるのか、それとも次なる道を歩むのか。その選択を迫られた時、ネタを作成する本間キッド(39)はこう思った。「なにがあっても一生お笑いやるんだろうな」。リーダーの中嶋享(40)も「芸人を諦めることを諦めた」。ロングサイズ伊藤(41)も「焦ってもしょうがないな、と思った」。生涯イチ芸人。長年“お笑いが好き”という共通点でつながってきた3人だからこそ、笑いの神様も見捨てなかったのだろう。

 今回のKOC決勝1本目で見せた「バーベキュー」は、男友達3人でキャンプ場に遊びに行き“死んだふり”ドッキリを極限まで続ける中嶋と、それを信じて死体を埋めようとする伊藤。その2人にひたすら驚き続ける本間の三重奏が見事にハマった。世間の反響は大きく、これまで登録者数600人だったYouTubeの公式チャンネルが一気に1万人を越えるなど人気急上昇中だ。

 崖っぷちトリオは一体、何がきっかけで生まれ変わったのか。ヒントとなったのは所属事務所の先輩である「バイきんぐ」小峠英二(46)からの金言だった。

 指摘されたのは、トリオにおける台詞量のバランス。「バイきんぐ」では、小峠と相方の西村瑞樹(45)の理想の台詞量が小峠6:西村4。5:5や、比率が逆転すると急に受けなくなる。いわば“黄金比”があるという。その言葉を受けて完成したネタが「バーベキュー」だ。

 それぞれ台詞は伊藤5:本間4:中嶋1。演技ができて迫力もある伊藤でしっかり笑いを取り、逆に演技が苦手な中嶋の台詞はどんどん減らした。本間は「中嶋の一言で一気に観客を仕留める。僕はそれぞれの行動に驚いて対応するので、この比率が1番いいと思いました」と力を込めた。

 トリオでの役割は、ボケやツッコミを超越して、それぞれ「狂気的」(伊藤)「異常者」(中嶋)「驚く人」(本間)にモデルチェンジ。KOC2本目で披露した「雨」もこの法則に乗っ取って作り上げた。大雨により彼女へのプロポーズが失敗に終わり、自暴自棄になるズブ濡れの男・伊藤。天気予報を外した気象予報士の本間に絡んで来るが、意外な方法で撃退する中嶋。それに驚く本間。「このスタイルにたどり着くまで、15年かかりました」と3人で笑った。

 世間一般のアラフォーと言えば社会の荒波にもまれながら、家族や仕事など自らの守るべきものを守り抜く年頃。「や団」の場合は、それがお笑いだった。ようやく見つけたトリオの“黄金比”。本間は「今回3位で、こんなチャンスはもう二度とない。来年のKOCは獲りたいですね」と熱く語った。5:4:1で混ぜ合わせた時にサイコーの爆発力を発揮するアラフォーの星。3人揃って、四十にしてネタに惑わず、だ。

 ○…これまでお笑いに身を捧げてきたために、3人とも未婚。インスタグラムも“婚活目的”で始めたというが、「なかなか出会いはありませんね」と伊藤は苦笑い。町中でも声をかけられる機会が増えたが、「男の人からばっかりなんですよね」(本間)と語る。本間と中嶋は男子校出身なだけに、「男社会で生きてきたから、男笑いなのかな」と中嶋は分析した。

 ◇や団 本間キッド(ほんまきっど)1982年(昭57)12月23日生まれ、埼玉県出身の39歳。中嶋享(なかしまとおる)1982年(昭57)6月23日生まれ、新潟県出身の40歳。ロングサイズ伊藤(ろんぐさいずいとう)1981年(昭56)3月22日生まれ、神奈川県出身の41歳。07年結成。20年第14回SMAホープ大賞優勝。ツギクル芸人グランプリ2021決勝進出。

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