玉袋筋太郎 「町中華で飲ろうぜ」の最高の隠し味は…

[ 2022年8月25日 07:45 ]

BS-TBS「町中華で飲ろうぜ」のポスターの前でポーズをとる玉袋筋太郎
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 【牧 元一の孤人焦点】BS-TBS「町中華で飲ろうぜ」(火曜後10・00)に出演している玉袋筋太郎(55)を東京・赤坂の同局に訪ねた。

 個人的に毎週欠かさず見ているこの番組。まずは互いに好きなプロレスに例えた話から。

 「町中華のお店は熟練のレスラー。俺はグリーンボーイの気持ちで行ってる。ロープに振っても返って来ないようなUWFのような人はいない」

 番組の魅力の一つは彼の飲みっぷりの良さだ。ある回で店主に勧められ焼酎のボトルを飲み干したこともある。

 「あのオヤジは『百年の孤独』を冷やして待ってた。それを冷えてるからって氷も入れずストレートで飲んだ。あれは核ミサイルですよ。でも、向こうが出してくるんだったら引いちゃいけない。戦いは負けちゃダメ。ただ、ベロベロになって途中で『あとはよろしく…』みたいな感じになっちゃったけどね。あの酒は3日くらい残りました」

 その真剣勝負感が見ていて楽しい。そして、もう一つの魅力が食べっぷりの良さ。1回の放送分で2軒回って、それぞれの店で3、4品注文するから、1人で全て食べるとなるとかなりの量になる。

 「プライベートで1人で町中華に行く時はビールの大瓶を飲んでチャーシューの小皿、メンマ、中華風やっこ、最後にワンタンを食べるくらい。ギョーザも食べたいけど、55歳にもなると6個はもう食べられない。でも、番組ではちゃんと食べなくちゃいけない。見ている人が『明日、中華を食べたい!』と思うようなメニューを頼むようにしてます」

 実は酢豚にかかっている甘酢あんかけが苦手。好きなのはニラレバ炒め。締めのラーメンは必ず完食する。この番組は既に4年目に入っており、食べる量からすると太っていてもおかしくないが、体重は番組開始前と変化していないという。

 「ただで飲んで食べて、おまんま(ギャラ)ももらって、太ったら格好悪い。普段、節制してます」

 何より番組の最大の魅力は町中華の人々との交流だ。くだけていながらも、人への優しさを感じさせる話しぶりが聞いていて心地いい。

 「店で大将やおかみさんに会えるのが楽しい。一人一人が小説を書けるような感じ。夫婦の物語や親子の物語があって、話を聞いているとグッと来る。夫婦でやってたんだけど大将が亡くなっておかみさんがやってるって店もある。何も食べずに話を聞くだけで帰ってもいいくらいの時もあります。人生のうま味調味料が入ってるからたまらない」

 長く番組を続けるには大変なこともあるに違いない。これまでの苦労は?と質問したところ、返って来た答えはこうだった。

 「ADさんがそこそこの営業マンのようにお店を当たってる。断られたりしてようやく決まってロケが始まる。ロケが終わって俺が店から出て行った後、店主やおかみさんがADさんに『良かったね』と声を掛ける。それを見た瞬間、これだ!と思うんです。苦労してるのは俺じゃなくて、スタッフの人たち。全てのロケが終わって店でみんなで飯を食べる時間がいちばん好きです。その時もう俺はできあがっちゃってるんだけどね」

 そんな彼の温かみが番組の最高の隠し味だ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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