「ちむどんどん」タイトルバック 放送開始4カ月で真相が明らかに

[ 2022年7月21日 08:20 ]

連続テレビ小説「ちむどんどん」のタイトルバックの一場面(C)NHK(Photo By 提供写真)
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 【牧 元一の孤人焦点】CGクリエーターの森江康太氏がNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」のタイトルバックに込めた思いを明かした。

 「ディレクターと話し合い、作品により深みを持たそうと考えました。タイトルバックの前半で描いたのは、この物語のサイドストーリーです。賢三と優子は幼い頃、戦争でそれぞれの親族を失い、残された2人で家庭を築きました。2人は時折、子供たちの前から姿を消す時間がありましたが、実は、近くの洞穴などに入り、遺骨を拾い集めていたのです。沖縄の旧盆に『ウークイ』という儀式があって、庭先などで『打ち紙(うちかび)』をたく習慣があり、2人も毎年、そのようにしていました。そこに描いたのは、戦争を経て辛く苦しい時代を生き抜いてきた2人の姿です」

 21日放送の第74回で、優子が子供たちに自身の過去を告白。ドラマの放送開始から約4カ月を経てようやくタイトルバックの真相が明らかになった。

 「家の縁側に並ぶ2人の後ろ姿は、賢三と優子です。ちょっと見ただけでは分からないかもしれませんが、優子のおなかは少しふっくらしていて、長男の賢秀を妊娠していた頃を描いています。その次のシーンがウークイで、打ち紙がたかれ、賢三と優子が祈りをささげています。その後、夜明けから朝にかけて花が開くシーンがあります。ここで開く花は、沖縄三大名花のひとつ『オオゴチョウ』で、その花言葉は『自分らしく生きるのが一番』。賢三と優子の時代から暢子の時代へと移り変わってゆく様子を表しています。冒頭に出てくるシークワーサーの木は若く実も青いですが、後半の木は太くなっていて実も熟れています。短い映像の中で少しずつ変化する沖縄の景色に、賢三と優子が築き上げてきた世界を暢子たちが新たに塗り替えていくという意味を込めました」

 縁側のシーンは薄暗く、外は雨。一般的には青い海と空の印象が強い沖縄を舞台とするドラマとしては奇異な感じもある。

 「沖縄の生活の範囲内にある物を入れたいと考えました。雨のシーンは寂しい雰囲気になりますが、それこそが沖縄の人たちが日常的に見ている風景なのではないかと思ったのです。私はこのタイトルバックを作る準備で3日間ほど沖縄に滞在しましたが、いつも雨が降っていました。賢三や優子たちの生活、関係性が香り立つシーンをタイトルバックに盛りこみたいと考えていたので、私としてはこのシーンがいちばん好きです」

 暗いシーンがあるからこそ、その後の明るいシーン、暢子が青い海に向かって走るラストが際立っている。
 
 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年7月21日のニュース