「ドライブ・マイ・カー」全米批評家協会賞4冠 日本映画初のアカデミー賞作品賞有力候補に急浮上

[ 2022年1月10日 05:30 ]

映画「ドライブ・マイ・カー」主演の西島秀俊と三浦透子(C)2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会
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 濱口竜介監督(43)の映画「ドライブ・マイ・カー」が、8日(日本時間9日)に発表された第56回全米批評家協会賞で作品賞、監督賞、脚本賞、西島秀俊(50)の主演男優賞の4冠に輝いた。日本単独製作の作品賞は黒澤明監督の「乱」(85年)以来、主演男優賞はアジア人初の快挙となった。

 「ドライブ・マイ・カー」はニューヨーク、ロサンゼルスの両批評家協会賞も制するなど、米国の主要賞レースを席巻中。アカデミー賞の長編国際映画賞(旧外国語映画賞)のノミネート候補作にも選ばれているが、昨年11月24日からロサンゼルスで公開されていることから「ロサンゼルス地区で1週間、1日3回以上の上映」というアカデミー作品賞のノミネート条件もクリアしている。洋画配給関係者は「全米批評家協会賞まで獲ったことで、評価はさらに高まった。長編国際映画賞は最右翼、作品賞にもノミネートされれば受賞の有力候補」と、日本映画初となる作品賞でのオスカー獲得を期待した。

 カンヌ映画祭の脚本賞を皮切りに、同作が受賞した賞は35以上。濱口監督は大学院の卒業製作をスペインの映画祭に出品するなど、当初から世界を意識。今作もワールドマーケットで通用する普遍的な人間ドラマに加え、世界的に翻訳されている村上春樹氏の小説が原作。劇中にチェーホフの「ワーニャ伯父さん」、ベケットの「ゴドーを待ちながら」と有名戯曲が登場するなど、国際的にも受け入れられやすく高い評価を得ている。日本でも昨年8月の公開以来、ロングランヒット中だ。

 全米批評家協会賞作品賞は20年「パラサイト 半地下の家族」、21年「ノマドランド」で、ともにアカデミー賞作品賞を受賞。「ドライブ・マイ・カー」はニューヨーク、ロサンゼルスなど、全米主要都市の映画祭でも外国映画賞を受賞しており、勢いは両作を上回っている。アカデミー賞ノミネートの発表は2月8日、授賞式は3月28日。「パラサイト」に続くアカデミー作品賞、長編国際映画賞のダブル受賞も含め、注目度は高まるばかりだ。

 ◇ドライブ・マイ・カー 村上春樹氏の短編集「女のいない男たち」収蔵の同名小説が原作。演出家で俳優の家福(西島)は、妻がある秘密を残して急死し喪失感に打ちのめされる。2年後、愛車で向かった演劇祭で、心に傷を持つ寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦)と出会う。同じ時間を過ごす過程で、家福は再生へのかすかな希望を見いだしていく。

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