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王将戦第1局第1日 先見性光った藤井竜王の「▲3七桂」

[ 2022年1月10日 05:30 ]

第71期ALSOK杯王将第1局第1日 ( 2022年1月9日    静岡県掛川市 掛川城二の丸茶室 )

第71期王将戦第1局第1日A図
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 【関口武史 第1日のポイント】注目の一戦は初日午前中から細かい指し手争いが繰り広げられた。藤井竜王の相掛かりに対して渡辺王将が序盤から工夫を凝らす。現代の相掛かりは先後ともに含みを残しながら駒組みを進めるのが主流だが、渡辺は△3四歩、△4二王が、自ら形を決めることで、先手の作戦の幅を狭めるという逆説的なアプローチを見せる。△8四飛、▲2八飛と飛車の位置が定まり、次は銀のポジションだ。

 藤井は▲3七銀~4六銀と引き飛車では前例の少ない形に進め、渡辺はオーソドックスに△6四歩~6三銀と歩の内側から好形を築く。ここで藤井の▲3七桂(A図)が現代流の柔軟な発想だった。自ら▲3五歩の権利を放棄するよう(△同歩▲同銀△3六歩の切り返しがある)だが、先手の4六銀の安定が最優先とみた先見性が光る。

 AI以後の将棋は「角」の考え方が大きく変わった。プロ棋界もその影響を受け、潜在的な角の使い方から、先鋭的に前線での活用が増えてきた。AI以前は持ち角の評価が高かったが、現在は自陣角の評価もうなぎ上りである。▲8六歩~6六歩と控室を騒然とさせた組み合わせを経て、藤井の狙いが見えてきた。「▲5六角」の自陣角である。深謀遠慮な準備を土台とした自陣「▲5六角」を巡る攻防で初日を終えた。戦略家渡辺から削った消費時間は大きな戦果と言える。(本紙観戦記者)

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