侍・栗山監督「いいゲーム」 愛弟子・大谷との6年ぶり共闘に感慨 世界一へ見えた「化学反応」

[ 2023年3月7日 05:05 ]

侍ジャパン強化試合   日本代表8-1阪神 ( 2023年3月6日    京セラD )

<神・侍>5回2死一、二塁、この日2本目の本塁打を放った大谷を出迎える栗山監督(撮影・北條 貴史)
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 心の底から湧き上がる喜び。栗山監督は必死に笑みを抑えながら、打球を見上げた。日本ハム時代に二人三脚で歩んだ大谷と同じユニホームを着用して臨んだ、6年ぶりの試合。何とも言えない感慨を胸に抱きながら言った。

 「メジャーの選手たちは調整が難しいけど、元気に試合に出てくれて、いいゲームになったと思います」

 驚愕(きょうがく)の2打席連続3ラン。3番・DHでの起用に応え、最高の結果を残した。WBC開幕は9日。世界一へチームにこれ以上ないほどの勢いをつけた。それでも大谷についての言及はあえてしなかった。いつもの「これぐらい普通だよ」という口癖も聞かれない。ただ、大谷の日本復帰戦が京セラドームとなったことには、不思議な縁を感じていた。

 日本ハムで師弟関係にあった6年前の17年。大谷は右足首の故障で第4回WBCに出場できなかった。投打の柱と期待されながら無念の辞退。打者だけでも出場できないか最後の最後まで出場の可能性を探ったが、かなわなかった。その故障を乗り越えて迎えたシーズン。4月8日のオリックス戦で一塁への走塁の際に左太腿肉離れを発症した。故障明けで一気に出力を上げたことが原因。「あの時、翔平は本当に悔しがった。絶対にケガだけはしないとやってきたから」。栗山監督はそう振り返る。

 「誰も行かなかった道を行こう」と約束して目指した二刀流。愛弟子は世界的な選手となり、侍ジャパンの世界一のためにはせ参じた。6年前に出場がかなわなかったWBCへ向け、因縁の球場で悪夢を振り払った2発。指揮官は「凄くいいゲームだった」と感慨を込めた。

 規定もあって壮行試合には出場できなかった1番・ヌートバー、3番・大谷、5番・吉田のメジャー組で全8打点を挙げた。これが、かねて栗山監督が言ってきた「化学反応」。世界一への道が、はっきりと照らされた。(秋村 誠人)

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2023年3月7日のニュース