激闘の準々決勝 歴史は繰り返すか 高松商・浅野VS近江・山田に注目

[ 2022年8月18日 04:05 ]

74年の第56回全国高校野球選手権、鹿児島実・定岡(右)と東海大相模・原の対決
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 【秋村誠人の聖地誠論】甲子園は準々決勝が面白い。昔、そんな話を聞いたことがある。言われてみれば、確かにそうかもしれない。2、3試合をこなして甲子園にも慣れ、実力が拮抗(きっこう)した8校の対戦だ。自然と激闘になるのだろう。記憶を頼りに過去の準々決勝を振り返ってみたい。

 小学生時代に見て、今も忘れられないのは74年夏の第4試合だ。1年生の原辰徳の東海大相模(神奈川)とエース・定岡正二擁する鹿児島実の対戦。延長戦にもつれ込んだ試合は12回の裏、鹿児島実の二塁手・中村孝が二塁後方への小飛球をダイビングキャッチする超美技でサヨナラ負けのピンチを救った。捕球した後、しばらく起き上がれない姿がカクテル光線に浮かんだ。救われた定岡は15回、213球を投げきって激闘を制した。

 この試合を中継したNHKは試合が長引いたため途中で終了。苦情が殺到し、翌年から総合と教育(現Eテレ)のリレー中継が始まったと聞く。当時、筆者も苦情を言いたかった一人だが、関東ローカルで中継が再開。中村孝の美技はテレビで見ることができたのを覚えている。

 記憶に新しいところでは、98年夏の横浜(神奈川)―PL学園(大阪)の延長17回の死闘。横浜・松坂大輔の250球の熱投は見る者の心を打った。筆者が生まれる前の58年夏には、徳島商―魚津(富山)の延長18回引き分け再試合がある。徳島商・板東英二と魚津・村椿輝雄の投げ合いは今も語り継がれている。

 そんな激闘の歴史がある準々決勝。第2試合では高松商(香川)と近江(滋賀)が対戦する。2回戦(対佐久長聖)で衝撃的な2打席連発を放った高松商の1番・浅野翔吾(3年)と近江のエース兼4番・山田陽翔(3年)の対決だ。山田は3回戦(対海星)で満塁弾など打撃も好調。何よりもこの2人、ともに闘志あふれる表情から伝わってくるものがある。

 2人は昨夏の甲子園で連絡先を交換。今大会の開会式で再会して「勝負できればいいな」と話したという。それが現実となる注目の一戦。何か、歴史を彩るような激闘の予感がしてならない。 (専門委員)

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2022年8月18日のニュース