【高校野球 名将の言葉(14)履正社・岡田龍生監督】「練習試合を申し込んでもどこの会社ですか、と」

[ 2022年8月18日 07:45 ]

19年、全国高校野球選手権の令和初代王者に輝き胴上げされる履正社・岡田監督
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 元号が「令和」に変わり初の甲子園大会となった2019年夏。就任33年目で悲願の全国制覇を果たした履正社の岡田龍生監督は、弱小チームから始まった、長い長い道のりを思い出したのか、自然と涙があふれ出た。

 桜宮での2年間のコーチ生活を経て履正社監督に就任したのは87年4月。83年に校名変更後、夏の大阪大会は86年まで全て初戦敗退していた。監督として初めて夏の大会を戦った直後の秋には部員8人となり他部から助っ人を募って部活動を継続するほどだった。

 「練習試合を申し込んでも、履正社ってどこの会社ですか、といわれた」

 東洋大姫路では主将を務め79年選抜で4強入り。日体大でも大学選手権&明治神宮大会に出場し4年時は主将を務めた。社会人の鷺宮製作所でもプレーするなど日の当たる道を歩んできただけに、大きなギャップがあった。

 97年夏に甲子園初出場を果たしたが専大北上に1―2で初戦敗退。選抜初出場となった2006年も1回戦で横浜に0―1で敗れ、全国で勝つために「打ち勝てる野球」を求め始めた。選手の体のスケールアップも必要と感じ管理栄養士による食事指導も導入。14、17年の選抜でともに準優勝するなど確実に結果を残し、迎えた19年夏。1回戦の霞ケ浦戦では大会記録に並ぶ1試合5本塁打で圧勝し「1番から下位まで本塁打を打てる打線になってきた」と手応えを得た。

 危なげなく決勝まで勝ち上がり、同年選抜初戦で17三振を喫し完封された星稜・奥川恭伸(現ヤクルト)との再戦。試合前に「(巨人の)菅野が投げると思っていけ。菅野やったら打てへんかってもしゃあないやろ」とリベンジに燃える選手の力みを取ると、井上広大(現阪神)が3回に逆転3ランを放つなど11安打を浴びせて5点を奪い、攻略した。「夢のようです。泣くことはないだろうと思ったが、涙が出てしまった」。お立ち台で感慨にふけった。

 ◇岡田 龍生(おかだ・たつお)1961年(昭36)5月18日生まれ、大阪府出身の61歳。東洋大姫路3年時の79年春に主将として甲子園出場し4強入り。日体大―鷺宮製作所でも内野手としてプレーし85年から桜宮でコーチ。87年に履正社監督に就任し97年夏に甲子園初出場。2014、17年春は準優勝し19年夏に全国制覇。22年4月から東洋大姫路監督を務める。甲子園通算22勝。

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