敵もきょとんサヨナラ…市和歌山・山根 パニック一塁送球

[ 2014年8月14日 05:30 ]

<鹿屋中央・市和歌山>延長12回、三走・大田がサヨナラの生還を果たし喜ぶ鹿屋中央ナインを前に座り込む市和歌山の山根

第96回全国高校野球選手権1回戦 鹿屋中央2―1市和歌山

(8月13日 甲子園)
 今大会初の延長戦はまさかの幕切れ――。初出場の鹿屋中央(鹿児島)は10年ぶり出場の市和歌山と1回戦を行い、延長12回の末、2―1のサヨナラ勝ちを収めた。1死一、三塁から米沢佑弥投手(3年)の打球は二塁に転がったが、山根翔希内野手(3年)が何と一塁へ送球。この間に三塁走者が生還した。4万6000人の大歓声と甲子園の熱気で頭が混乱した二塁手は試合後、泣き崩れた。

 4万6000人の大観衆が固唾(かたず)をのんで見守った今大会初の延長戦は、まさかの幕切れが待っていた。1―1の延長12回、鹿屋中央は1死一、三塁とサヨナラの好機を迎えていた。9番・米沢の打球は二塁手・山根の前に転がった。中間守備隊形を敷いていた市和歌山の選択肢は本塁への送球か、4―6―3の併殺。捕手の田中からは「ホーム!」の声が飛んだ。

 しかし…。山根は一塁へ送球。「ゴロゴー」のサインで本塁に突入していた三塁走者の大田はサヨナラのホームを踏んだが、その事実をすぐに理解できない。

 大田(鹿屋中央) 一塁手がボールを持っていたので併殺でチェンジだと思った。でもベンチは“勝った”と。何が起きたか分からなかった。

 米沢(同) 併殺を崩そうと必死に一塁まで走った。あれっという感じだった。

 ガッツポーズもない劇的勝利が、予想外の結末を何より物語っていた。

 山根(市和歌山) バウンドが変わって捕り損ね、頭が真っ白になった。パニックになり、知らぬ間にファーストに投げてしまった。

 事の重大さに気付いた背番号4は、その場で泣き崩れた。代わる代わるナインが声をかけ、抱えられるように引き揚げた山根は「自分のせいで負けて申し訳ない」と言葉を絞り出した。

 半田真一監督が「守備はぴか一」と評する1メートル61の小兵二塁手。この日も再三の好守で併殺を完成させていた。直前の伝令では三塁走者が走れば本塁送球、止まれば併殺狙いを確認。だが、大観衆の視線と延長戦の熱気に「観客の数、一つ一つの歓声が凄かった」。17歳が平常心を保つにはあまりにも酷だった。

 市和歌山にとって、市和歌山商から校名変更して初の甲子園は、あっけない形で初戦敗退となった。しかし、半田監督は「山根は守備の要で和歌山大会では助けてもらった。最後ああいうプレーになったが彼を褒めてやりたい」とかばった。そして最後にこう言った。「甲子園の怖さを感じた」。最後の最後に甲子園の魔物が顔をのぞかせ、無情にも勝者と敗者の区別をつけた。

 ▼市和歌山・赤尾(先発で131球の力投も実らず)正直、凄い悔しい。でもしっかり最後まで投げられた。いっぱい助けてもらってきたので、最後の守備は仕方ない。

 ≪夏の甲子園まさかの幕切れ≫

 ☆あっ、けん制球が… 74年準決勝(防府商―鹿児島実)は1―1の9回1死二塁、鹿児島実の投手・堂園が二塁へ投げたけん制球は悪送球となってセンターへ。これをカバーの中堅手・森元がトンネルし、二塁走者が生還しサヨナラ。

 ☆痛っ、サヨナラ死球 78年1回戦(仙台育英―高松商)は仙台育英・大久保、高松商・河地の投げ合いで延長戦に。0―0の17回1死二、三塁から高松商守備陣は満塁策を取ったが、河地の205球目は島田のヘルメットに当たる押し出し死球でサヨナラ。

 ☆えっ、サヨナラ暴投 85年3回戦(鹿児島商工=現樟南―沖縄水産)は沖縄水産が5―4とリードで迎えた9回、鹿児島商工に同点とされ、なお1死満塁。1年生投手・上原の投じたボールはワンバウンドしバックネット前に転がり、サヨナラ暴投となった。

 ☆ああ…サヨナラボーク 98年2回戦(豊田大谷―宇部商)は2―2の延長15回無死満塁で宇部商の2年生エース・藤田は、セットポジションから投球動作に入りながら一度元に戻した。これがボークに取られ、3時間52分の熱闘にピリオドが打たれた。

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