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パーフェクト銀色 コーホサーモン53センチ 神奈川県箱根・芦ノ湖

[ 2021年11月7日 06:19 ]

53センチのコーホサーモンを釣った筆者
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】紅葉が始まったばかりの神奈川県箱根・芦ノ湖に行ってきました。

 芦ノ湖でボートに乗るのは初めてというオカッパリフライの達人、吉冨健志さんと共に全長19フィートという大型レンタルボートで湖尻から出港しました。

 まずは湖尻の桟橋沖でよく釣れているというワカサギを狙いました。マスの餌として使用するためと、おかず分を確保です。ボート店で買った芦ノ湖ワカサギ仕掛けは10本のカラバリ仕様でした。「餌を付けた方が釣れるよ」とのことでしたので、ベニサシを2本おきに付けました。

 ここでは水深15メートルぐらいの場所に魚影が見え、仕掛けを下ろすとポツポツあたり、1時間で50匹ほど釣り、場所移動。吉冨さんが普段岸釣りしているポイントを沖からフライで攻めてみました。

 有名ポイントを各所回りましたが、魚探にいい反応もなく、最終的にはワカサギ釣りで有名なプリンスホテル沖に落ち着きました。

 私はワカサギを釣りながら、それを餌に泳がせるムーチングをするために仕掛けを準備しました。

 私たちはフライもしているので同じエリアを何回か移動し、アンカーを打ち直し釣り続けると、吉冨さんのフライにヒットがありました。それは野生化したと言えるヒレピンの美しいニジマスでした。春先の放流したての尻尾が丸い魚とはほど遠い完璧なボディー。ニジマスの本来の姿でした。

 私の餌釣りにはヒットしません。なぜだといろいろ考えました。もしかしたらみんながムーチングをやっているので魚が賢くなっているのではないかと仮説を立て、ラインを2ポンドに替えました。ハリも小さくしハリスを細く1号にして1・5メートルぐらいにしました。そして餌のワカサギも食べやすそうな小型を付けていたのですが、一番大きいものに替えました。こうすることにより元気に泳いでいる時間が長く、魚が大きいのでハリも目立たないと思ったのです。

 その仕掛けに替えてから30分、待望の当たりがありました。

 軟らかいロッドの穂先が水面に突き刺さったと思うや否や、ボートの反対側で魚が跳ねました。リールのドラグが軽快な音を立てます。急いでロッドを取り、水中に突っ込んでエンジンをかわし、反対側へとロッドを向け、さらに前方にはアンカーロープが入っているのでそれをよけるために、吉冨さんと入れ替わって一番前に行きました。そしてまたジャンプ。逆光でしたが完全に魚体をさらけ出しました。その時点ではそれほどのサイズではないと思っていましたが、ラバーネットですくった時には50センチを超えていると確信しました。

 その魚体はヒレピンでパーフェクト銀色に輝く極上の魚でした。ネットに入った時点では銀ピカのニジマスだと信じていました。

 しかしよく見ると、ニジマス独特の側線上のピンクの帯がなく、背ビレや尾ビレの黒点がありませんでした。この魚はなんとコーホサーモンです。和名はギンザケ。全長53センチというサケにしては超小型ですが、湖で育ったサケマスの仲間としては立派だと思います。30センチぐらいまで淡水コーホなら管釣りなどでも釣ったことがありますが、このサイズは初めてです。

 初めての淡水コーホと対面しサケマス魚類研究家としてはいい経験になりました。(東京海洋大学客員教授)

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