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“憩いの場”で堪能 小物五目 マナーや人間性も良くなる

[ 2021年10月3日 06:29 ]

ギンブナと私。超小物をグルテンで釣るとは思っていませんでした
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】この夏、利根川水系にソウギョやハクレンを狙いに行った時、ソウギョマスターの市川満さんから「涼しくなったら井田齋さんも誘って小物五目釣りに行きましょう」とお声がけいただきました。井田さんとは私の恩師で、北里大学海洋生命科学部名誉教授。魚類図鑑の監修を多数している魚の大先生です。

 ようやく9月末に行ってきました。場所は市川さんイチ推しの埼玉県内の野池。この池は近所の釣り人の憩いの場になっているようで、渓流の秘境のように釣り場案内をするとデリケートなので場所案内はできませんが、いい池です。

 人造池なので、移植、放流されたコイ科の小物がたくさんいます。この池の常連はよそで釣ったタナゴなどもここに放流しているようです。

 行ってみると、足元に小さなタナゴがたくさん泳いでいるのが見えました。

 3人で並んで早速、釣り開始。井田さんは全部市川さんからレンタルした1・2メートルのタナゴ竿。私は7尺のグラス竿です。餌はマルキユー「グルテン5」です。これを少量ずつプリン皿に開けて餌を作り、タナゴバリ(がまかつ「極タナゴ」)で引っかいてハリにつけます。

 寄せ餌はマルキユー「バラケマッハ」。これを普段のヘラブナ釣りのダンゴ餌ぐらいの大きさに丸めて投入します。

 当たりはすぐに出ますが、魚が小さいのでなかなかハリ掛かりしません。そのうちフナが回ってくるとヒットしました。

 タナゴ竿なので、小さいフナでもよく引きます。マブナと呼ばれるギンブナとヘラブナと呼ばれるゲンゴロウブナが主です。魚がちょっと大きく元気すぎると、タナゴ用ハリはふところが小さいので口切れしてバレてしまいます。上手に竿を曲げて強引に引かずに寄せてくることが肝要です。

 市川さんはそんなハリで23センチぐらいのオオキンブナを釣っていました。さすがですね。クチボソと呼ばれるモツゴや、タモロコなども釣れてきましたが、井田さんは苦戦していました。小物釣りの仕掛けが繊細なので、うまく扱えないのと、魚の行動を考えながら仕掛けを投入したりするのが難しいようです。

 苦戦する井田先生をからかいながらも、釣り上がった魚種は増えていきました。市川さんはタイリクバラタナゴ、モツゴ、タモロコ、オオキンブナ、ギンブナ、そして希少なカネヒラ(移植)も釣って五目以上達成。私にはカネヒラは釣れませんでしたが、5センチぐらいのコイの幼魚が釣れました。井田先生はモツゴにギンブナ、そして初挑戦でタイリクバラタナゴも釣りましたが、アメリカザリガニを釣ってしまったので減点。特にルールを決めていないのですが、そういうオチで楽しめました。

 子供たちはザリガニを釣って大はしゃぎ。高齢者カップルは手作りタックルで落ち着いた釣りを、常連たちはガツガツせず日陰で世間話。市川さんのホームフィールドで楽しい釣りをさせていただきました。

 こういう釣り場で釣りを覚えるとマナーや魚に対する人間性が良くなるのだろうなと思いました。
(東京海洋大学客員教授)

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