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【コラム】海外通信員

ハーフナー絶好調!今季12得点 日本代表復帰も?

[ 2016年2月19日 05:30 ]

エクセルシオール戦の後半、ゴールを決めるADOデンハーグのハーフナー(左)
Photo By スポニチ

 マイク・ハーフナーが点を取り続けている。2月14日に行われたオランダリーグ第23節、エクセルシオール対ADOデン・ハーグで1ゴール2アシストで劇的な逆転勝利に大きく貢献した。

 試合は、前半9分にADOがMFヤンセンのゴールで先制。そのままADOが優勢に試合を進めるかと思われたが、前半24分に同点にされると完全にエクセルシオールに試合を支配された。そして後半24分に2?1と逆転ゴールを許してしまう。流れに飲み込まれたADOがそのまま負けてしまう雰囲気が漂っていた。だが、後半32分、ADOがFWファンデルヘイデンを投入し、ハーフナーとの2トップへと布陣を変えると、試合が一変した。

 後半33分、そのFWファンデルヘイデンがファーストタッチでゴールを決めた。ディフェンダーからのロングフィードをハーフナーがヘディングで左サイドに流す。ペナルティーエリア内の左でファンデルヘイデンがピタリとトラップした後、角度のないところから豪快な左足シュートをゴールに突き刺してみせた。

 2-2の同点に追いつくと、ADOとファンデルヘイデンの勢いが加速する。後半41分には、ADOのクリアボールをファンデルヘイデンがヘディングで繋ぐ。ハーフナーがヘディングで相手DFの裏にボールを送ると、ファンデルヘイデンが抜け出しに成功。GKとの1対1となり、右足のシュートをゴール左にズバリと決めた。

 2-3と逆転に成功すると、後半44分にはハーフナーのダメ押しゴールが決まった。右CKから、ハーフナーがニアに入りながらヘディング。上手くゴール左に流し込んだ。「最後へ俺が片付けましたね」とは試合後のハーフナー。2-4となり、波乱の試合の決着をつけるゴールとなった。

 ハーフナーはこれで今シーズン20試合出場12得点。一時の勢いだけではなくコンスタントに得点を決め続けていることは評価されるべきだろう。となれば、当然日本代表の声がかかってもおかしくはない。前節のローダ戦にはハリルホジッチ監督が視察に訪れ、ハーフナーとも面会したという。

 「日本代表にはいつも選ばれたいと思っています」とハーフナー。「今シーズンは結果が付いてきて、名前がまた候補として出てきているので、これからの試合でもしっかりと結果を残していければ選ばれる、はず? 選ばれたいです」

 昨シーズンは、スペインからフィンランドと渡り歩いていた。その間に存在感が薄れていた。

 「一年消えていたというのは、やっぱりマイナスでしかなかった。今またオランダに戻ってこれられて、結果も残して、また選ばれる手前まで来ているので、しっかりと続けていきたいです」。

 日本代表への復帰も視野に入ってきたハーフナー。ただし、前述のエクセルシオール対ADOの試合の主役は、逆転ゴールそして決勝点を決めたダニエル・ファンデルヘイデンだった。

 ファンデルヘイデンは、試合当日は18歳。ユースチームに所属している選手だ。トップチームのフォワードにケガ人が出たため、急遽ベンチ入りした若手だった。当然、プロデビュー戦。ハーフナーは、「一度も(一緒に)練習してないんですよ。ある意味、僕は初対面です」という。しかし、ハーフナーとファンデルヘイデンの連携がいきなり機能して、ハーフナーの2アシストから、ファンデルヘイデンが2得点を決めたわけだ。

 「いやー、とんでもないデビューを見ちゃったな」試合直後のハーフナーの開口一番のコメントは、そんな言葉だった。

 「結構、鳥肌モノですね。そこに2アシストという形で、彼のデビューゴールは俺がアシストしたので。ちょうどチームの中で空気が悪くなっていたところで、途中から出てファーストタッチでいきなり角度のないところから入れちゃうとかね。凄いですね」。

 ハーフナーは突如現れた若き才能を手放しで絶賛した。

 「やっぱりいきなりチャンスをものにする選手は何かを持っている選手だと思うので。ADOにとってはじっくり育てていく若手になると思います」。

 ファンデルヘイデンは、幼少の頃はフェイエノールトやFCドルトレヒトの下部組織に所属し、日本で言えばジュニアユースあたりの年代からADOのユースに加入している。18歳の彼は現在学生であり、週4日は学校に通い、週1日はインターンシップで”GAMMA”で働いている。GAMMAはオランダの大手ホームセンターチェーン店だ。ADOのユース選手とはいえ、学生かつホームセンターで働くほぼ無名だった18歳の若者が一夜にしてスターダムにのし上がった、劇的な試合でもあったのだ。

 ハーフナーの日本代表復帰は現実味を帯びつつある。オランダリーグで中位にいるADOくらいのステータスのクラブであれば、クラブの選手が各国代表に選出されることは非常に名誉なことだ。ハーフナーが日本代表に選出されたならば、ADOは誇らしげに、かつ快くハーフナーを代表チームに送り出してくれるだろう。

 「そうですね。そうなります。でも、若い力が出てきたので、しっかり練習しなきゃ、と思います」。

 日本代表への復帰がモチベーションになり、リーグでもコンスタントに結果を出し続けている。加えてクラブにおいて若手が唐突に台頭した。ポジション争いの緊張感という面だけではない。2アシストしたエクセルシオール戦がそうであるように、ポストプレイヤーとして、そしてベテラン選手として若手を活かす役割を担うことへの自覚がある。ファンデルヘイデンの登場はハーフナーにとって良い刺激になっていきそうだ。(堀秀年=ロッテルダム通信員)

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