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【コラム】海外通信員

ガジャルド・リーベルに期待!!

[ 2014年9月21日 05:30 ]

リーベルプレートのマルセロ・ガジャルド監督
Photo By AP

 W杯ブラジル大会後、スタートしたアルゼンチンリーグ。今季のリーベルプレートは快進撃中だ。現在6節を終え、5勝1分けと負けなしで首位をキープしている。

 アルゼンチン国内でボカと人気を2分するリーベルは、W杯前の前回リーグ戦でラモン・ディアス(元横浜マリノス)監督のもと優勝を果たした。チーム史上最大の汚点である2部落ちを経験し、復帰後初めて、優勝に導いたのはやはりリーベル史上最多タイトル獲得監督であるラモン・ディアスだった。そして誰もが疑わなかった彼の契約更新、クラブ側との折り合いがつかずまさかの更新拒否だった。その瞬間、リーベル再建に不安を感じたファン、関係者も多くいたに違いない。

 しかし、クラブ関係者は、パサレラ会長後は、ドノフリオ新会長のもと、監督秘書という肩書で エンソ・フランチェスコリ(1994-97年リーベル黄金期にプレー、ウルグアイ代表、トヨタカップ出場)を起用し、フロント陣の入れ替えもしていた。黄金期に監督であったラモン・ディアス、プレーヤ―であったフランチェスコリには当時不仲説が流れていたこともあったぐらいで、その辺りが関係しての結果だったのかもしれないという説もある。最後に、ラモン・ディアスは「あなたたち経営者は一度も私が監督になることに賛成していなかった」と一言。クラブを去ったのであった。

 そこでフランチェスコリ監督秘書は、すぐにマルセロ・ガジャルド新監督就任を発表した。誰もが常勝ラモンディアスの後任はできないだろうと思った瞬間でもあった。

 ガジャルドは、日本では馴染みが少ないかもしれないが、1998年、2002年W杯のアルゼンチン代表選手である。リーベル育ちで、テク二シャンで視野も広く、センスのあるアルゼンチンでは認められた素晴らしい選手だった。彼のあだ名は、ムニェコ(人形という意味)。由来はすごく小柄で人形みたいだからだ。現役時代は、フランチェスコリと一緒にプレーもしており、引退後も良好な関係が続いていた。そして名門ウルグアイ・ナシオナルモンテビデオを優勝させた手腕も買われ就任となった。

 そんな中、ガジャルドは「クラブ経営陣からのバックアップがあってとても嬉しい」と感謝。現在の快進撃については、「チームは凄くいい状態で、すごく堅固、いいプレーをしている。各ラインがコンパクトにプレー出来ていて、ボールを奪われても、皆がブロックで動き回復している」と笑みも漏らさず、冷静な口調で淡々とコメント。

 今のチームはラモン・ディアス監督時からの選手も多い。しかし皮肉にも個々の動きは全く異なり、早い判断、早いタッチでのプレーでとても流れの良いサッカー、何と言ってもシュートにもっていく確率が今までになく高い。久しぶりに見ていても楽しく、ファンも大満足のプレーをしている。

 「ゴールチャンスも多く作ることが出来る、しかも守備もとてもいい」

 「選手が主役だ、1試合ごと1試合ごと、考えていくよ」とガジャルドは現在のチームにとても満足している。

 誰もが予想もしなかったが、結果を見せることで、監督としてもファンの心をつかんだ
ガジャルド。この快進撃がどこまで続くのか。これからアルゼンチンサッカーのけん引役となるであろう監督ムニェコ・ガジャルド。ガジャルド・黄金期到来を大いに期待する。(大野賢司=ブエノスアイレス通信員)

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