【コラム】海外通信員

米女子サッカーの人気

[ 2011年8月7日 06:00 ]

W杯で最優秀選手に選出された沢穂希(左)と、シルバーボール賞の米FWワンバック(中央)、ブロンズボール賞の米GKソロ
Photo By AP

 劇的な初優勝で日本では、なでしこジャパン・ブームが続いているようだ。あと一歩で優勝を逃したアメリカ女子代表にもアメリカでは熱い視線が注がれている。

 今回アメリカ代表への優勝の期待は日本に勝るとも劣らないものがあった。女子サッカー大国という意識は広く浸透しているが、99年の自国開催大会以来W杯優勝から遠ざかっている。それでも北京五輪で優勝し、FIFAランク1位で今大会に臨んだことがまず期待の下地になった。

 さらに注目度を上げることになったのが準々決勝のブラジル戦だった。このゲームでアメリカ代表は先制したものの、後半レッドカードで10人となり、追いつかれて同点に。延長戦でもブラジルに追加点を入れられたものの、後半ロスタイムにFWアビー・ワンバックの同点ゴールでPK戦に持ち込み、勝利をもぎ取った。この劇的な勝利でアメリカのメディアやスポーツ・ファンは俄然ヒートアップすることになった。

 決勝はアメリカでは日曜日の午後キックオフということもあって、多くのファンが自宅やスポーツ・バーで観戦した。テレビ中継は視聴率8.6%を記録した。これは99年大会決勝の13.3%に次ぐアメリカ女子サッカー史上2位の数字だ。直前に開催されたMLBオールスター・ゲームが7.9%だったからいかに関心が高かったかわかるだろう。

 それだけに敗戦は大きなショックをファンに与え、テレビ・ニュースでは呆然とするファンの様子が盛んに映し出されることとなった。

 が、それでもアメリカ代表の人気は確実に高まっている。帰国後ワンバックやGKホープ・ソロなどは人気トークショーや朝のワイドショーにゲスト出演し、大きな拍手や歓声で迎えられた。

 ソロのツィッター・アカウントのフォロワーは大会前約1万人だったが、今や25万人を超えている。

 さらに代表チームは大会前からスポーツ・メーカーのナイキの広告契約に出演していたが、大会後ソロとワンバック、FWアレックス・モーガンの3人は大手銀行、バンク・オブ・アメリカと広告契約を結んだ。代表選手のほとんどが契約している代理人によれば、さらに多くの契約が結べそうだという。

 ただし広告専門誌によれば、準優勝に終わったことにより、得られる広告契約の総額が1000万ドル減ったという試算も出ている。優勝と準優勝の差はやはり大きいようだ。

 W杯効果がバラバラなのがプロ・リーグのWPSである。4月に開幕し、大会期間中もゲームが開催されていたが、大会後初のゲームとなったのがウェスタン・ニューヨーク・フラッシュ対マジックジャックのゲームだった。それまでWPSの平均観客数は2700人余りだったのだが、なんとこのゲームは1万5404人を記録した。さらに23日のアトランタ・ビート対マジックジャックも9345人の大入りだった。

 これはマジックジャックにはワンバック、ソロをはじめ、7人のアメリカ代表選手がいることが大きいようだ。さらにフラッシュにもモーガンとブラジル代表MFマルタがいる。

 一方で23日に開催されたスカイブルーFC対フィラデルフィア・インディペンデンスでは1593人留まった。やはり代表が多く、それもスター選手が多くいないと急激な人気アップは厳しいのかもしれない。

 日本でもいかに今回の人気を定着させるかが課題となっているようだが、それはここアメリカでも同じである。(渡辺史敏=ニューヨーク通信員)

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