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【コラム】海外通信員

マイク・ハーフナーの復調がポイント ADOデンハーグ1部残留へ

[ 2017年4月14日 05:50 ]

 “ADOデンハーグが再生した理由の一つが、マイク・ハーフナーがトップフォームに戻ったことだ。この日本人は自身が出場した試合は、ここ3試合連続でゴールを決めている”。

 4月8日にはエールディビジ第30節、ADOデンハーグ対FCフローニンヘン戦が行われた。試合当日、オランダのフットボールインターナショナル誌のウェブ版に掲載された当該試合の見どころをピックアップした記事に、上記のような記述があった。結果、ADOデンハーグはFCフローニンヘンに4−3で勝利。ハーフナーはチームの3点目を決めて勝利に貢献した。これでADOデンハーグは3連勝。ハーフナーは4戦連発。ADOは一気に降格圏を脱して13位にまで順位を上げた。

 年末から年始にかけて、ハーフナーはウイルス性の病気を患った。1月には帰国していた日本で2週間ほど入院。退院してオランダに戻った後も、コンディションを戻すためにしばらく時間が必要だった。2月3日のフィテッセ戦でベンチ入りしたものの、チームもハーフナーをスタメン復帰させるのは慎重だった。

 ハーフナーが徐々にコンディションを上げる中、チームも大きな変化があった。2月7日、ADOはゼリコ・ペトロビッチ監督を解任。2月8日に、アルフォンス・フローネンダイク監督を後任として招聘した。

 フローネンダイク監督が就任して最初の試合だったゴーアヘッド・イーグルス戦で1−3、続くフェイエノールト戦で0−1と2連敗を喫したADOだったが、続くFC−トゥエンテ戦、FC−ユトレヒト戦をともに1−1で引き分けた。2連敗後の2分け。再生への流れを掴みつつあった新監督率いるADOを勝利に導いたのが、ハーフナーだった。

 3月11日のNEC戦、66分から途中出場したハーフナーが後半37分にゴールを奪う。得点した直後は「泣きそうだった」というハーフナー。ADOは虎の子の1点を守りきって1−0で白星を手にした。

 続くアウェーのAZ戦では、0−4で大敗。ベンチに入っていたハーフナーの出番はなかった。

 そして、4月2日のローダJC戦で、ハーフナーはついにスタメンに返り咲く。この試合でもチームの3点目を決めたハーフナーは、4−1の勝利に大きく貢献。続く4月5日のビレムII戦でもスタメン起用されると、2−1で勝利した試合の決勝点を奪った。

 得点シーンは、ペナルティーエリア内でディフェンダーを背負いながらクサビのパスを受けると、強引に反転して右足でシュート、ゴール右下隅に決めたものだった。

 「最初、パス出しても良かったと思うんですけど。まあ、ボックスの中だったら、それこそ自己中にやるのがフォワードだと思うので。別にあれを外しても謝る気はないです」と本人は笑いながらコメントしていた。長身であるがゆえの懐が深いキープ、長い足を活かした背後に迫るDFが届かないところにボールを置いてからの振り向きざまのシュート。利き足じゃない右足でも迷わず振り抜いたストライカーらしい一撃に、完全復調が見て取れた。

 「やっと右足で、今シーズン初ゴール。アウェーも初でした。今シーズンは前半戦に、ほんといろいろ苦しいこともあった。ケガも病気もあった。そこから個人的にもチーム的にも、良い感じに立て直せているかなと思います」

 ハーフナーの復調に合わせてチームも完全に上昇ムードに乗った。復活したのはハーフナーだけではない。キャプテンで左サイドバックの8番アーロン・メイエルス、屈強なフィジカルを武器に中盤でハードワークする2番ディオン・マローネといった、前半戦にケガで戦列を離れていた主力が戻ってきた。

 また、あまり起用されなくなっていたウインガーの77番シェランドロ・ベッカーが活躍し始めたことも見逃せない。「シェラルド(・ベッカー)と共に、今、結構セカンドチームで試合に出ているんですけど、結構二人で良い仕事をしていて」。そんな風にハーフナーが語っていたのは、2月24日、1−1で引き分けたFCトゥエンテ戦後だった。病気からの復帰途上だったハーフナーはベッカーとセカンドチームで連携を高めていたのだ。そんなふたりが揃ってスタメン復帰したのが、ローダJC戦。その試合で両者はともに得点を決め、チームを4−1の勝利に導いていたのだ。

 ここに来て毎試合連続でゴールを取っているハーフナー。その秘訣を問うと「ケガと病気がないことです」と笑った。「ほんと、なんか不思議なシーズンだなと個人的に感じます。残り5試合ですけど、まあ、二桁いけたら上出来かな」。ビレムII戦が終わった時点で、残り5試合。「あと4点ですね。まあ、いけたら、満足していいかなっていう。シーズンの始まりは良くて、そこから全然点が取れなくなった。色々、体にも変化があった。そんなシーズンでも二桁取れるんだっていうのがいいな。あとはチームがちゃんとエールディビジに残れるように」

 このコメントの後、FCフローニンヘン戦でもゴールを取ったことで、残り4試合で二桁得点まであと3得点。一方でチームは、新監督就任後9試合4勝2分3敗。直近は3連勝中で13位にまで順位を上げている。自身の二桁得点とチームの残留。目標達成に向けて、視界は良好だ。(堀秀年=ロッテルダム通信員)

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