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朋之 ラーメンのSS赤パン目指せ

[ 2016年3月1日 05:30 ]

金田家さくら亭と西尾朋之
Photo By スポニチ

 遠い遠い昔…俺は同期ら数人と大正ロマンを実感しに行こうやと大阪西成区にある飛田新地を徘徊(はいかい)してた。と、その時、前から自転車に乗ったアンパンマンみたいな少年が「チワーっす!カズヒコさん!」と、いきなり声をかけてきた。同期の名誉のため名字は伏せておくがそのカズヒコが「おお~まんじゅう屋」と親しげに返した。聞けばデビューしたての大阪の新人らしい。「ど新人が一人でココをチャリってか?将来有望やのぉ~」と俺が口を挟むと「いえ、ボクの実家がすぐ近所でまんじゅう屋してますねん」「そうなんやぁ~。で、今日は顔にあんこ詰めてもらおうと?」「なんでやねん!」。

 俺との出会いがこんなだった西尾朋之(57期52歳)。デビューして4年後に兵庫支部に移籍。色白で物腰柔らかく可愛い後輩であった。2011年に競輪選手を引退してこの年にラーメン屋【金田家さくら亭(電)0798(35)0033】をオープン。場所はさくら夙川駅徒歩3分、国道2号線沿いにある。

 朋之は引退してすぐに福岡で大成功してる金田和浩(55期)の金田家に修行に走り、のれんを分けてもらった。最近、イギリスロンドンでラーメンブームが巻き起こっているが、ダントツの人気店がこの金田家ロンドン支店。あと香港支店もあるとかですわ。

 鹿児島産の黒豚の頭を砕き、骨の髄まで数時間コツコツと炊き出したスープは白濁で濃厚。スープ用の元ダレしょうゆは北海道産昆布、大分産の椎茸に15種類のスパイスを独自に調合し長期熟成したしょうゆダレ。これが秘蔵とか。表面の泡泡は黒豚の背脂でコラーゲンたっぷり。クリーミーでとってもマイルドゆえ後味さっぱり。俺はいつもスープ一滴も残さず飲み干し「マイウ~」と叫ぶ。朋之が28時間寝ずにデッカイしゃもじをぶっ通しでかき回してるの知っとるからね。まっ、ちょっとした礼儀ね。

 夙川→芦屋→住吉川あたりまでの国道2号線はラーメン街道と呼ばれている。そんな激戦区で勝ち組になろうと思えば、しれっと何気にこなして当然。努力は服を着て歩くのと同じで、勝負の世界に身を置いた人間なら誰でもわかる。

 さくら亭も評判が評判を呼び、これまでテレビ取材で5回の出演。謙虚にしておごらず…いつしかグルメリポーターの彦摩呂先生にテレビで「ラーメンのSS赤パンやぁ~」と、そんな日を夢見て頑張りやぁ~。

 ◆齊藤 哲也(さいとう・てつや)1959年(昭34)4月生まれの56歳。元競輪選手(兵庫支部)。45期生の卒業チャンピオンとして80年にデビュー。S級で活躍も40歳で悪性リンパ腫により、03年7月やむなく引退(優勝25回)。本紙予想コラムでは高配的中数知れず。アナ車券の達人!! 兵庫県、S阪神のアドバイザーとしても活躍。現在もガン闘病中のカリスマ的患者。

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