こんな人脈こんな話

まか不思議な競輪…

[ 2008年3月29日 06:00 ]

 日本選手権ダービーは地元静岡の渡辺晴智が優勝した。私がまだ現役の頃に、『新人やけどバリバリのきついマーク屋がS級に上がってくるらしい』と当時から噂になっていた。『へぇー珍しいな…。どんなんか早よ見てみたいもんや』と思ってたっけ。“クレイジー”“火の玉ボーイ”とかのキャッチフレーズで売り出す選手はいつの時代でもいてた。だがそれは競技規則がユルかった時代の話。『マーク屋は氷河期や』とそんな時代になっていたからこそ興味津々であった。『大将、中トロや』『へぃがってんだぁ』。私が初めて見た第一印象は寿司屋の大将である。ごっついイメージを抱いてたのには程遠く拍子抜けの感であったが競走を見て『こんなん新人ちゃうでぇー』と度肝を抜かされたな。
 引退した内林は『事故点?そんなもん関係あるけ』と自分の戦法を貫き通した為にA級に落ちた事があった。『手加減したらんことにはスグ落車されてホンマかなわん』と言っていたが一人だけ内林に『よろしくお願いします』と競りかけてきた。『こいつ俺の名前知っとんか?』と衝撃的だったそうだが、この選手が新人の渡辺だったらしい。  勝てば『先行屋と回りの仲間のお陰』。負ければ『自分が弱いから』とコメント。人柄がうかがえ人望が分厚いのもよくわかる。

  今の競輪は大ギアブーム。この火をつけたのは、今回カマシ先行をした山崎芳仁。4回転の山崎を抜いた渡辺は3・57である。ダービーの決勝戦でもありまして地元でもある。競りもなさそうだし前は4回転を軽く踏みこなす山崎。抜いたら6600万円だ…せめて前ギア一枚ぐらい掛けたくなるのが心情というもの。よほど回りに左右されない自分の理論がビシっとあるんだろうな。これぞ平常心だわ。そうそう、11秒台前後のマクリを炸裂さす愛知の伊藤正樹も3・54である。

  最近やたらめったら考えられない落車が多いよね。これはギアとフレーム、また乗車フォームに関連してると思う。この事はまた今度触れさしてもらう。

  加倉正義の底力にびっくり。目標不在のためギアを4回転に上げ、狙いすましたマクリを2連発。タイムも11秒前半。そして次走、あきらかに調子落ちの自力屋をマークして共倒れ。軽く一言で語れないのが競輪道。しかし競輪てホンマ摩訶不思議だわ……。

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