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岡山の暴れん坊タクちゃんは「陰徳善事」

[ 2009年3月14日 06:00 ]

 陰徳善事=人知れず行われた善行。これをサラリとやってのけた競輪選手がいる。佐藤卓司(岡山、54期47歳)。骨髄バンクでドナー登録を経て数年前、型が一致した患者に骨髄提供している。少し前のコラムで、大井健司が兄(栄治)のために提供したのを紹介したが、骨髄バンクからの提供者は私の知る限り選手では彼だけだ(もちろん他にいてたら喜ばしいこと)。
 私が現役の頃、タクちゃんと岡山の街で一緒に遊んだ思い出がある。生まじめで控えめな印象しかなかったのだが『競走スタイルは生粋のマーク屋で、ぼっけぇーデンジャラスじゃ』と証言者続出!なるへそ、これまで落車81回、失格26回は暴れん坊だわ。でもそれからウルトラC的な発想が生まれたと思うと巨人タクちゃん卵焼きだな。
 『職業柄、倒す、倒されるは割り切る。でも心のどこかで憤りも感じてた。何か社会貢献でもして自分の人生を中和ませにゃいけまー』それから献血マニアになった。ある日、献血行った際に骨髄バンクの『あなたの善意が命をつなぎます』のビデオを見た瞬間『これじゃ!』と登録をした。
 数年後『HLA一致』と書かれた封書が届く。万全を期する意味で2カ月前からレースを自粛までした。後に患者さんからの感謝の手紙を読んだ時、元看護師の奥さんと『よかった、よかった』と涙が止まらなかったそうな…。
 骨髄バンクは平成3年の設立以来、ドナー登録数33万人、移植実施数1万例を突破。ただ、一人だけ見つかったとしても何らかの諸事情で最終合意までたどり着くのは容易でない。これはあくまでもバンクが善意だけで成り立っているということで仕方がない。だからこそ善意の土壌を広げるしか手立てはない。
 国別のドナー登録者数は人口の割合(概算)でアメリカ1/57、ドイツ1/26、日本1/360。バンクの歴史の差があるので一概に判断はできないが、一人でも多く無償のご慈悲を…献血も含め切なる願いです。『アンパンマンのエキス』私が入院してた病院での話がニュースで反響を呼びました。献血がどれだけ大切なのかを知ります。パソコンで検索して動画をぜひぜひ見てください。
 今回珍しくまじめだ。私はオチが命。このまま気を抜かず凛(りん)とした精神でビシッと決めるぜ!
 赤いレーサーパンツは超一流レーサーSS級の証し。コラムを読んだ日からタクちゃんの緑のレーサーパンツがまぶしいぐらいの金色(ラメ入り)に見えてくるだろう。なぬっ?金ラメのイメージわかへんってか?う~ん…ソープのスケベ椅子って言えば分かるかなぁ…。

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