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“地元の火”は消さない!!村上博幸 魂の松戸ダービー優勝

[ 2010年4月8日 06:00 ]

 松戸ダービーは、村上兄弟の兄・義弘の先行を弟・博幸が追い込んで優勝!絵に描いたようなワンツーフィニッシュ。近畿からのダービー王誕生は中里光典以来、なんと28年ぶりでっせ。ほんま、おめでとう!
 表彰式がとてもドラマチックでよかったね。
 表彰式直前、敢闘門のすぐ内側ですでに涙でボロボロなってる博幸。そこに兄が駆け寄る。カメラは兄弟で涙、涙の抱き合う絵を待ち構えていたはず。オレも実際、熱い兄のことやから、弟を抱き倒して床でゴロンゴロン『おーいどこまでいくねん』と想像してました。ところが『えっ?』兄に涙はなく義弘スマイル全開。で弟にこう言った『こんなことあんねんなぁ…』と。
 みんな知っている。1カ月前にあった向日町記念は兄貴が優勝で弟とワンツー。この時の優勝インタビューで『今、向日町の存廃問題で揺れ動いていますが、なんとか火は消したらあかんと…。そのためにも、今日の結果をG1とグランプリの決勝で』兄貴は嗚咽(おえつ)まじりで泣きじゃくって訴えていたことを。その夢がかなったんですよ。一番号泣したいのは兄貴なんですね。本人らでないと分かり得ない兄弟の絆(きづな)。血のにじむ努力。それを殺してサラリと『さぁー表彰式しっかりせえよ』と肩をポンポンと叩く。それは、たった今激戦を終えたという雰囲気ではなく、兄弟が幼いころに遊び疲れて『もうそろそろ家に帰ろかぁー』みたいだった。弟を思うあの優しいまなざしはよけいに感慨深かったのですね。
 弟の優勝は兄の築き上げた競輪道の集大成だね。準決勝で、山崎、武田の絶好の3番手からまくり上げた市田の熱闘。市田も尊敬する兄に追い付け、追い越せのとこまで成長してきた。決勝戦だって、ダービーゆえ加藤慎平-ヤマコウらに競り込まれても仕方ないとこである。でも、けっしてそうならないところが兄の人徳を物語っている。
 博幸とは、F1戦で優勝し出したころ『強くなっていつか齊藤さんのコラムに出してくださいね』『オレとしたら爆笑エピソードの方がありがたいねんけどな』と冗談まじりで言い合ってたんですけどね、また村上兄弟特集は今度のお楽しみに。
 地元がなくなるツライ思いはオレら兵庫県の選手だけでけっこうだ。向日町記念、ダービーの決勝戦と優勝インタビューの模様は、パソコンのユーチューブで見られる。ぜひ向日町の施行者関係者にじっくり見てもらい『火を消すのだけは…』と切に願う。

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