囲碁・仲邑菫三段が13歳11カ月で初タイトル 最年少女流棋聖が誕生 「奇跡です」史上初中学生で

[ 2023年2月7日 05:15 ]

囲碁の第26期ドコモ杯女流棋聖戦第3局で上野愛咲美女流棋聖(右)を破った仲邑菫三段=6日午後、東京都千代田区の日本棋院
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 囲碁の仲邑菫三段(13)が6日、東京都千代田区の日本棋院で打たれた第26期ドコモ杯女流棋聖戦3番勝負の第3局で上野愛咲美女流棋聖(21)を破り、対戦成績2勝1敗とし最年少の13歳11カ月、中学生で初めてタイトルを獲得した。14年、藤沢里菜女流本因坊(24)が女性棋戦を制した15歳9カ月を9年ぶりに更新。仲邑は「奇跡です」と喜んだ。

 タイトル戦挑戦は今回が3回目。対局は1手30秒未満の早碁で行われ、序盤から激しい攻防に。形勢が二転三転する熱戦となったが、最後は仲邑が抜け出し、250手で白番中押し勝ちを収めた。

 人工知能(AI)の研究成果が強さに表れた。自身の対局や先人の棋譜をAIで分析。難しい局面でAIが示す最も有効な手を自分のものにした。この日も勝負どころはいくつかあったが「終盤の読みの精度は上がった。ヤバい場面もあったけど自信を持って打てました」と振り返った。

 AIによる研究について日本棋院の小林覚理事長は「数字が出るのが若年層には勉強しやすい」と指摘。上野はプロ入り2年足らずで女流棋聖を獲得したトップ棋士。その上野を倒しての仲邑の初載冠に「この年齢で、異常な強さです」と驚いた。

 将棋の藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=同様、仲邑も“初”のオンパレード。プロ入り、公式戦100勝、そして女流タイトルと最年少を更新し続けている。

 スニーカーを履いて臨んだ会見。勝利の褒美を問われると、大好きな歌手milet(ミレイ)の名前を挙げ「ライブに行きたい」とはにかんだ。

 すでに日本代表として国際大会に出場しているが今後、タイトル保持者として臨む。「韓国の人は終盤強いので、精度を上げたい」。真っすぐな瞳が、世界を見据えた。

 ◇仲邑 菫(なかむら・すみれ)2009年(平21)3月2日生まれ、大阪市出身の13歳。父の仲邑信也九段門下。母はアマチュア強豪の幸さん。3歳7カ月で大会に初出場。日本棋院の英才棋士第1号として19年、当時最年少の10歳0カ月でプロ入り。21年、同12歳0カ月で二段昇段。22年、女流名人挑戦、扇興杯女流最強戦準優勝、三段昇段。

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