17歳の最年少棋士・藤本渚四段 対局場間違え無傷6連勝ストップ 東京将棋会館なのに…関西将棋会館へ

[ 2023年2月7日 05:16 ]

藤本渚四段
Photo By スポニチ

 将棋の現役最年少棋士、藤本渚四段(17)が6日、神谷広志八段(61)との第36期竜王戦6組ランキング戦で対局会場を勘違いして、不戦敗となる珍事が起きた。会場は東京都渋谷区の将棋会館だったが、藤本は大阪市の関西将棋会館に行ってしまった。昨年12月のプロデビュー以降、無傷の6連勝中だったが、まさかの形で記録が途絶えることになった。

 対局開始の午前10時の約30分前に会場入りしていた神谷は、開始約10分前に日本将棋連盟の職員から不戦勝を伝えられた。本紙取材に「戦う気満々で闘志を燃やしていたところだったので、力が抜けました」と振り返った。「(藤本は)一番下の孫よりも2つだけ年上で、公式戦での44歳差もある対局は初めてで楽しみにしていた」と話した。

 藤本の師匠、井上慶太九段(59)によると、関西将棋会館に向かっていたところ藤本から「対局場所を間違えてしまいました…」と電話があったという。その後、会館で落ち合い、神谷がいる東京・将棋会館に電話をかけた。

 まずは井上が平謝り。続けて藤本が「申し訳ありません…」と消え入りそうな声で謝罪した。神谷は「気にしないで。引きずらないで同じ失敗をしないことが大切だよ」と告げたという。「若い有望な棋士なので、前を向いてほしい」とエールを送った。神谷は、2017年に藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=に破られるまで、公式戦28連勝の記録を持っていた。

 藤本は同ランキング戦をここまで、東京の将棋会館と大阪の関西将棋会館で1局ずつ行ってきており、東京での対局は初めてではなかった。目標は羽生善治九段で「理由は年を取っても強くありたいから」という若手のホープ。今回は“痛恨の一手”となってしまった。

 対局場に現れずに不戦敗になったのは藤本が初めてではない。2016年の叡王戦本戦トーナメントで、久保利明九段(47)が豊島将之九段(32)との対局に大遅刻したケースなどがある。

 ◇藤本 渚(ふじもと・なぎさ)2005年(平17)7月18日生まれ、香川県出身の17歳。16年に小学5年で奨励会入り。奨励会に集中するため、高校進学と同時に大阪へ転居。22年12月にプロデビュー。趣味は音楽を聴くことで、好きなアーティストはMr.Children。

続きを表示

2023年2月7日のニュース