【日本映画大賞、監督賞】三宅唱監督  岸井ゆきのとボクシング練習で信頼関係構築 フィルムで一発勝負

[ 2023年1月19日 05:00 ]

2022年(第77回)毎日映画コンクール各賞決定 ( 2023年1月18日 )

インタビューに応じる三宅監督(撮影・白鳥 佳樹)
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 2011年(第66回)の「一枚のハガキ」以来となる5部門制覇。三宅唱監督(38)は、「ケイコを演じた岸井ゆきのさんの真摯(しんし)な姿勢、撮影の月永(雄太)さん、録音の川井(崇満)さんの真剣かつ楽しく取り組んだ姿勢を賞という形で評価していただき、一緒に働いた者として光栄に思います」と謙虚に語った。

 聴覚障がいのあるプロボクサー・小笠原恵子さんの生き方に魅了され、著書「負けないで!」を原案にフィクションとして描くことを決意。岸井とともにボクシングのトレーニングをして信頼関係を構築した。

 「コミュニケーションで相手のしゃべり方や判断の仕方をつかめると、現場で不安にならずに済む。変な駆け引きをせず、さらけ出した状態でいられることが安心感につながる。そういう時間を持てたのはありがたかった」

 加えて、「ボクシング映画の撮影は、演じる側にとっては体力勝負。身を削ってカメラの前に立つわけですから、フィルムという制限があれば一回に懸けられると考えました」と、16ミリフィルムで撮影。試合のシーンもできる限りカメラをフィックス(固定)して肉体の躍動を捉え、「最終的に出来上がったケイコの姿は、小笠原さんであり岸井さんでした」と手応えをつかんだ。

 ベルリンなど多くの海外の映画祭に招待され、日本でもスマッシュヒットとなっての戴冠。「岸井さんは現場で一緒にものを作るのが大好きな人なので、一番喜んでいるかなあ。尊敬していますし、どんどん変わって新しい一面が見られましたが、まだまだ知らないところがたくさんあるだろうと思わせる魅力がありますね」。2人の再タッグも期待できそうだ。(鈴木 元)

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