【スポニチグランプリ新人賞】嵐莉菜「宝物の作品」で第一歩「人の心を動かすことのできる女優さんに」

[ 2023年1月19日 05:00 ]

新人賞に選ばれた嵐莉菜。笑顔でポーズを決める(撮影・会津 智海)
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 2022年(第77回)毎日映画コンクールの各賞が18日、決定した。大器の片りんを見せた新星に贈られるスポニチグランプリ新人賞には金沢知樹監督の「サバカン SABAKAN」に出演した番家一路(ばんか・いちろ、12)と川和田恵真監督の「マイスモールランド」に主演した嵐莉菜(あらし・りな、18)が選ばれた。フレッシュな2人はそれぞれの言葉で飛躍を誓った。

 映画初出演で主演という重責を全うし、女優としての確かな一歩を踏み出した。「評価していただけたことが一番うれしくて凄く光栄。賞に恥じないよう、今後も精進していきたいという気持ちが強まりました」。嵐は満面の笑みをたたえ、声を弾ませた。

 「マイスモールランド」で演じた、クルド人の女子高生・サーリャ役はオーディションでつかんだ。難民申請が不認定となり在留資格を失ってしまう難しい役どころだが、「私も自分のアイデンティティーに関して葛藤していた幼少期があるので凄くご縁を感じ、絶対に演じたいという気持ちになりました」という。父親がイラン、イラク、ロシアにルーツを持ち、母親は日本とドイツのハーフ。日本で生まれ日本人として育ちながら、今でも外見から「お人形さんみたいだね」「日本語が上手だね」と言われることがある。

 「状況は全く違いますが、脚本を読むと情景が浮かんで本当に共感できました。クルド人の方々ともお会いして、その文化を体験したことで視野が広がり役をイメージしやすくなりました」

 初めての撮影現場には、不安や戸惑いもあった。そこは英国と日本のハーフの川和田監督と、サーリャの思いを共有し乗り越えた。

 「監督は、私が考えて出したものや自然に出たものを大切にしてくださる方。緊張している時は凄く励ましの言葉を言ってくださって勇気をもらいました。撮影を重ねるごとに自分の中にサーリャという存在が確立され、自信が持てるようになりました」

 サーリャの父、妹、弟役もオーディションで選ばれたが、全員が実際の家族に決まる偶然もあった。「家族皆で共演するなんて一生ないことだから、恥ずかしかったけれどちょっとうれしかった。自然体で役に入り込めたので結果的に良かったと思います」と屈託なく笑う。

 「何度見てもいいなあと思って泣いちゃう、宝物の作品」でのスタート。公開後は受験のため仕事をセーブしていたが、4月から晴れて大学生となり仕事との本格的な両立が始まる。

 「作品や役を通して自分が感じたこと、学んだことをお芝居で伝えることができて、人の心を動かすことができる女優さんになりたいと思っています」

 澄んだ瞳が、真っすぐに将来を見据えていた。 (鈴木 元)

 ◇嵐 莉菜(あらし・りな)2004年(平16)5月3日生まれ、埼玉県出身の18歳。「ミスiD2020」でグランプリとViVi賞をダブル受賞。20年から女性ファッション誌「ViVi」の専属モデルとして活躍。

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