古舘伊知郎 現場で見たアイルトン・セナの超人ぶり「僕は鈍いから気付いていない」

[ 2022年8月28日 17:26 ]

古舘伊知郎
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 フリーアナウンサー古舘伊知郎(67)が、28日放送のTOKYO FM「いいこと、聴いた」(日曜後1・00)にゲスト出演し、F1ドライバーで94年にレース中の事故で帰らぬ人となったアイルトン・セナの超人エピソードを明かした。

 89年から6年間、フジテレビのF1中継の実況を担当した古舘。ある時、セナの父がサーキットで観戦しているという情報を耳にしたといい、パーソナリティーの作詞家・秋元康氏が、古舘から聞いたエピソードとして披露した。「古舘さんが、アイルトン・セナに“今日お父さんが来てたよ”って言ったら、“ああ、知ってる。途中でトイレ行ったでしょう?”って」。時速300キロのマシンを操縦しながら、スタンドの父の行動まで把握していたという。

 すると古舘は、「動体視力がF1ドライバーは、なべて尋常じゃない。300キロでホームストレートで疾駆している時に、スタンドからお父さんが立って、とっとっとっと歩いて行って、“たぶん親父、トイレだな”っていうのが分かる」と補足した。「同じ事を(元F1ドライバーの)鈴木亜久里さんも言ってた」といい、「洋の東西を問わずというのは古くさい言い方ですけど、動体視力は鍛えられますね」とも話した。

 さらに古舘は、セナの細やかさを象徴する逸話も明かした。モナコGPの練習走行の際、セナがスタッフと言い争う姿を見たという。古舘によると、「“あそこの最終コーナーに行って、あれだけ低速になってから急加速で立ち上がっていく時に、俺は右のリアタイヤのホイール部分を縁石とガードレールの根っこのところにポンとぶつけて、ギリギリまで攻めて行くことによって100分の3秒、上がるから”と叫んでる、セナが」と、異次元のやりとりをしていたという。

 そこで古舘は、実際に最終コーナーに行って確認。「セナの車が来て、曲がっていった時、何が起きてるか分からないんだけど、ビ~ンと揺れてるの、ガードレールが。右リアタイヤに当たったという感触すらも、僕は鈍いから気付いていない。何か当たったのかな?こんな振動があるってことは、と」。実際にタイムは100分の4秒ほど短縮していたという。ピットに戻って来たセナが「なっ?」と話しているのを見て、古舘は「すごい体感」と驚きをもって振り返った。

 古舘の話に、秋元氏は「古舘さんは言葉の魔術師なんだけど、言葉がすごいんじゃなくて、何を見てるか」と、言葉のセンスの裏にある地道な取材ぶりを絶賛していた。

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2022年8月28日のニュース