メッツ・千賀 メジャー初登板初先発で初勝利!「ゴーストフォーク」で全8K奪った

[ 2023年4月4日 02:30 ]

ナ・リーグ   メッツ5-1マーリンズ ( 2023年4月2日    マイアミ )

<マーリンズ・メッツ>フォークを投げ込む千賀(撮影・光山 貴大)
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 メッツの千賀滉大投手(30)が2日(日本時間3日)、敵地ローンデポ・パークでのマーリンズ戦にメジャー初登板初先発。5回1/3を3安打1失点で、メジャー初勝利を挙げた。全8三振を奪ったフォークは米国でも「ゴーストフォーク」として定着。最大落差104センチの「魔球」が威力を発揮し、育成選手出身では初めてのメジャーでの白星となった。

 消えたボールで、バットも消えた。初回、先頭から連打で1点を失い、さらに連続四球で無死満塁。千賀は元DeNAのグリエルを、85マイル(約137キロ)のフォークで空振り三振に斬った。急降下して視界から消えたボールに、空を切ったバットもすっぽ抜け、三塁側に転がっていた。

 「気持ち的にも本当にいっぱいいっぱいだった。体が操れていない自分が分かっていたので、ピンチになって“試合を壊すとやばい”と思ってから逆に冷静になれたかな」。メジャー最初のアウトを空振り三振で奪うと、続くJ・サンチェスもフォークで連続三振。バーティーを右飛に抑えてピンチを切り抜けリズムを取り戻した。

 3回もフォークで2者連続3球三振など、2回以降は降板まで1安打、6奪三振。奪った8三振の決め球は全てフォークだった。平均落差32インチ(約81センチ)の魔球。ソフトバンク時代に「お化けフォーク」と呼ばれたボールは米国で「ゴーストフォーク」へと化けた。野茂英雄、佐々木主浩らが駆使したが米国では「スプリット」と呼ばれ続けた球種。だがこの日、大リーグ公式サイトは速報などで「スプリット」ではなく「フォークボール」と表記。グラブに記したお化けのイラストとともに、早くも注目を浴びる魔球となった。

 WBCでの侍ジャパンの世界一から12日。メジャー移籍1年目で出場がかなわなかったが、決勝の舞台だったローンデポ・パークでメジャー初勝利を挙げた。デビュー戦での8奪三振は球団史上3位の多さで、日本投手では4位タイ。それでも「これで終わりじゃない。今日みたいなピッチングをしないように、しっかり調整して、もっともっとスムーズに長いイニングを投げられるようにしたい」と千賀。夢見た場所に立ち奪三振ショーを繰り広げても、満足することなく前を向いた。(杉浦 大介通信員)

 ▼メッツ ジェレミー・ヘフナー投手コーチ 球速130キロ台であれだけ回転数の少ないボールを投げることは、大リーグの選手でも難しい。特別な球になっている。

 ≪千賀は大きく落ち、大谷は速く鋭く落ちる≫今季まだ1度ずつの登板だが、千賀のフォークとエンゼルス・大谷のスプリットを比較すると数値に違いがある。平均球速は、千賀の約136.1キロに対し大谷が約143.8キロと約7キロ以上も速い。さらに平均の落ち幅は、千賀が約81.3センチ、大谷が76.7センチと約5センチの差。千賀は大きく落ち、大谷は速く鋭く落ちている。その要因のひとつが回転数。大谷の1172回転に対し、千賀は1060回転とより回転が少ない。

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