【虎番リポート】岡田イズム浸透 “四球選ばない男”中野の変身が示す野手陣の意識改革

[ 2023年4月4日 07:30 ]

3月31日、DeNA戦の3回に四球を選ぶ中野
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 どこまで本当のことを言っているのか、正直分からない。開幕3連勝に導いた阪神・岡田監督のことだ。

 発言で引っかかっているのは、開幕戦でフェンス際の大飛球を好捕した板山のプレーについて。ドラ1ルーキー森下を下げて右翼に入れたことが結果的に当たった采配に、「代えてたんやね、あれ。何で代えてたんやろ。まあ良かった」と耳を疑う言葉を残した。2、3戦目と攻撃の打つ手打つ手がズバズバ決まった戦略家が、意図しない起用をするとは思えなかった。

 だから、3連勝の要因になった四球の多さに関する言葉も、しらを切っているように感じてしまう。16四球は2位・巨人に7個差をつけてリーグ最多。たくさん塁上をにぎわせたことが、同じくセ最多の18得点につながったことは明白だ。しかし、「結構ワンスリー(3ボール1ストライク)から見送るもんな。俺は打てのサインを出してんのに」と、選手が勝手にやっているだけと言いたげだ。

 2番・中野の明らかな変身ぶりにも、素知らぬ顔を続ける。昨年は開幕37試合目、158打席目にようやくシーズン初四球を選び、年間でもわずか18四球だった男が、既に3個。ちょっとしたサプライズである。特筆すべきは犠打のケースを除き、第1ストライクを全ての打席で見送っていること。何かしらの約束事があると考えるのが自然なのだが、「俺は別に見送れとは言うてないよ」とあっさりしたものだ。

 もちろん、四球獲得は岡田野球の根幹をなす。04~08年の前政権も重視し、昨年10月の就任以降も、得点への近道になる出塁の重要性を口にしてきた。「指示していない」という岡田発言を真に受けるなら、言葉にする必要がないほど選手が方向性を理解し、セ1位の数字につながっているのだろう。采配だけが3連勝を生んだのではない。積極打ちの中野を変えるほどの指導力が、開幕ダッシュの最大の要因とみている。(倉世古 洋平)

 ○…昨季の中野(神)は、両リーグの規定打席到達者で最少の18四球。四球数を打席数で割った四球率は.030で最も低かった。一方で三振は89。選球眼の良さを示し、四球数を三振数で割った「BB/K」も両リーグ最低の0.20。リーグ3位の157安打を記録したように、四球で出塁を狙うよりも積極的に打っていく傾向があった。

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2023年4月4日のニュース