【スポニチスカウト部(9)】東海大菅生・日当 力強さと繊細さを併せ持つ大器

[ 2023年4月4日 06:30 ]

7色に変化するフォークを操る東海大菅生・日当(撮影・北條 貴史)
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第9回は東海大菅生(東京)のエース右腕・日当(ひなた)直喜投手(3年)。今春の選抜では準々決勝で大阪桐蔭に敗れたが、初の聖地で確かなインパクトを残した。 ドラフト速報

 大阪桐蔭との準々決勝で1―6で敗戦。日当は目を真っ赤にして会見場に現れた。頬を伝う涙が止まらない。「西の横綱」相手に3回途中から救援し、6回を5安打2失点で7三振。じっと遠くを見つめ「完成度を上げたい。プロでもメジャーでも活躍できるような投手になりたい」と宣言。涙を拭って聖地を後にした。

 1メートル90、105キロの大器。関東を代表する右腕が初の甲子園で躍動した。初戦の城東(徳島)との2回戦では8回から2回を投げて1安打無失点。次戦以降を見据えて27球をオール直球で投げきる余裕ぶりだった。球場表示では大会最速の148キロ、複数球団のスカウトの計測では自己最速タイの150キロを計測する馬力を披露し「変化球を使わずに抑えられる投球も磨かなければならないので」と胸を張った。

 3回戦の沖縄尚学戦では被安打6、7奪三振の完封勝利。「落ちた」と思ったところからもう一段階落ちる「二段階フォーク」、スライダー気味に右打者から逃げる「スライドフォーク」など7種類の変化を自在に操る「レインボーフォーク」で翻弄(ほんろう)した。守備陣は3失策や記録に残らないミスも続いたが「カバーできなければエースではない」と1―0での勝利に導いた。

 準決勝進出を狙った大阪桐蔭戦では敗れるも、6回を7奪三振と実力の片りんを見せた。昨秋からスカウト陣はスケールの大きさに注目。冬の練習期間に体重を一気に10キロもアップさせて、力強さは増した。フォークの他にもカーブやカットボールなど、多彩な変化球をコーナーに投げ分ける繊細さも併せ持つ。将来性は世代トップクラス。悔しさを胸にドラフト上位候補へ駆け上がる。(柳内遼平)

 ☆球歴 梅若小1年時に鐘ケ淵イーグルスで野球を始め、桜堤中でも同チームに所属。東海大菅生では1年秋からベンチ入り。憧れの選手はロッテ・佐々木朗、楽天・田中将。好きな言葉は「気持ちは技術を上回る」。

 ≪本人からも指摘 名字の字が違う?そのワケは…≫日当の「当」は正式には旧字体。新聞上では使用しないため「日当」と表記している。今年1月、練習に伺うと、取材の最後に本人から「僕の字が違うんすよ」と鋭い指摘が。事情を説明すると「ハハハ!そうなんすね!」と豪快に笑った。そして3月、紙面に特集記事を掲載すると学校関係者から「“なた”の字が違っています」と連絡が。さらにYouTubeにアップロードした密着動画には「漢字がちげーよ」と強めのおしかりも。選抜のアルプス席で取材した日当の母・直美さんにはこちらから事情を伝えると「字が違うと思っていました」と案の定だった。読者の皆さま、引き続き「日当」でいきます。

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2023年4月4日のニュース