大谷、侍でも驚速 191キロ二塁打&三盗で「3.11」岩手に希望を、同郷・朗希に勇気を

[ 2023年3月12日 05:25 ]

WBC1次ラウンドB組   日本10ー2チェコ ( 2023年3月11日    東京D )

<日本・チェコ>4回、適時二塁打を放つ大谷(撮影・光山 貴大)
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 ワイヤレスヘッドホンを首にかけ、大谷は笑顔で東京ドームの通路をさっそうと歩いて帰路に就いた。再び日本でプレーできる喜び、初めてWBCに出場できる誇りを日々かみしめている。

 右足を上げず、内側に少しだけひねる。5―1の4回1死二塁。大谷がメジャー移籍後に取り入れたヒールダウン打法に戻して、2番手右腕フロウフのカーブを強振した。ドライブ回転の打球はワンバウンドで右翼フェンスに当たり、二塁走者が一気に生還した。

 今大会3試合連続安打&打点と打線をけん引。打球速度118.7マイル(約191キロ)はこの試合の打者全体で断トツで、自身3番目の超速打球だ。21年4月12日のロイヤルズ戦で自身2番目の119マイル(約191・5キロ)で二塁打を計測した際に「しっかり下半身で振らないと、ああいう打球を打てない。ドライブ打球なので(打球速度が)もちろん出やすい」と語った。それを再現するような打球だった。

 最速127キロだった先発右腕サトリアに対し、初回はこれまで通りヒールダウンで挑んだが、チェンジアップを一ゴロ。3回は遅い球に対応できるように「ため」をつくり、急きょ右足を上げるフォームに変えた。しかし、再びチェンジアップに体勢を崩され、空振り三振を喫した。直前にベンチで水原一平通訳がバットの先をグッと握ってパワーを注入する場面もあったが、第3打席で「効果」が発揮された。直後には今大会初盗塁の三盗に成功。6点リードの8回に代打を送られてお役御免となった。

 試合前には先発マウンドに上がる同じ岩手出身の佐々木朗に一声かけて送り出した。東日本大震災当時、花巻東の1年生だった大谷は同校グラウンドでの練習中に被災。野球を続けるのも困難な状況で、仲間とともに戦い抜いた3年間だった。子供の頃から夢だったWBC。被災地の思いも背負い、世界一まで駆け上がる。(柳原 直之)

 ≪自身最速は191.6キロ≫大谷の右越え二塁打の打球速度118.7マイル(約190.9キロ)は、メジャー移籍後の自身の打球の中でも歴代3番目に速かった。

 最速は22年4月10日のアストロズ戦で放った二塁打で119.1マイル(約191.6キロ)。次いで21年4月12日のロイヤルズ戦での二塁打の119.0マイル(約191.4キロ)だった。

 昨季の大リーグ全体でも118.7キロを上回った打球速度は6本しかなかった。うち5本がヤンキース・スタントンで、最速はパイレーツ・クルーズが右前打で計測した122.4マイル(約196.9キロ)だった。

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