「虎のアライバ」出てこい!阪神・岡田監督“ゲッツー特守” 激戦区の二遊間猛特訓

[ 2022年10月30日 05:15 ]

二遊間の選手を集め、指導する岡田監督(左)(撮影・平嶋 理子)
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 阪神の岡田彰布新監督(64)が29日、甲子園球場での秋季練習で、就任当時から掲げる二遊間の強化に乗り出した。全体練習終了後に、メニューになかった50分の“ゲッツー特守”を敢行。中野拓夢内野手(26)ら8選手に、グラブトスの猛特訓をした。二遊間の深い打球で、二塁手が逆シングルでトスし、もらった遊撃手が一塁に投げるスペシャルプレー、通称「アライバ」も練習した。

 岡田監督がまた動いた。打撃、投手に続く陣頭指揮第3弾は、二遊間の連係。全体練習終了後、中野、糸原、北條、木浪、山本、植田、渡辺諒、板山の8人を2組に分け、二塁と遊撃を固定せず、交互に守らせた。

 「6―4―3」と「4―6―3」の併殺では二塁への柔らかい送球やトスを磨くのが目的。数パターンの投げ方、ベースへの入り方を練習した。猛特訓は休みなく50分も続いた。

 「こんなんは基本やからな。緩いボールでやってるんやから。2月(春季キャンプ)には、こんな練習でけへんからな。ピッチャーの連係とか、やることがいっぱいあるから」

 取れる併殺打を確実に取るために、基本をたたき込む一方で、1年に1度起きるかどうかのビッグプレーもメニューに加えられた。

 二塁手が二遊間の深い打球を逆シングルで取り、そのままグラブトス。それを受けた遊撃手が一塁へ投げる「アライバ」と呼ばれる美技だ。04年から6年連続ゴールデングラブ賞を獲得した中日の荒木、井端が得意とした連係プレーで、チャレンジする虎選手からは明るい声が響いた。今後も高難度の技を磨く予定で、「どんなプレーが起こるか分からへんから。ゲームの中では」と狙いを明かした。

 中野はシートノックでは本職の遊撃に就き、新加入の渡辺諒と二遊間を組んだ。岡田監督発案の特守では、プロでほぼ守っていなかった二塁にも入った。二塁転向がささやかれる3年目へ「両方守れることに越したことはない。そうすれば出場機会も増えると思う」と覚悟を口にした。

 岡田監督は、今後も二遊間に両方のポジションを経験させる予定。受け手の気持ちを理解させることが目的で「分からなあかんから。両方やっとかんと」と語った。秋季キャンプになれば、フェニックス・リーグ参加中で、遊撃英才教育中の小幡も加わる。二遊間は虎の超激戦区。競った先に虎のアライバが誕生する。(倉世古 洋平)

 ▼阪神馬場内野守備走塁コーチ(失策が多い内野陣は)スロー(送球)の方が(失策が)多いと聞いているが、捕る方はそんなに悪くはない気がする。(これからは)基本動作がもの凄く大事になってくる。

 ▽アライバコンビ 2000年代の中日で鉄壁の二遊間守備を誇った荒木雅博と井端弘和の愛称。荒木は05年に二塁手のシーズン最多守備機会913、井端は06年に遊撃手の連続守備機会無失策513のそれぞれプロ野球記録を樹立。落合博満監督が就任した04年から6年連続でゴールデングラブ賞を同時受賞した。なお、72年創設の同賞で阪神の二遊間コンビによる同時受賞は、85年岡田彰布&平田勝男、11年平野恵一&鳥谷敬の2度。

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2022年10月30日のニュース