広島・石原1軍バッテリーコーチ苦笑い 盟友・新井監督からの就任要請は…受諾するかの「選択権なかった」

[ 2022年10月30日 05:00 ]

就任会見に臨む石原氏(撮影・河合 洋介)
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 来季から広島の1軍バッテリーコーチを務めるOBの石原慶幸氏(43)が29日、マツダスタジアムで就任会見に臨んだ。「打てる捕手」がそろう中、「勝てる捕手」を中心とした再建に意欲。会沢翼捕手(34)の「復調」と坂倉将吾捕手(24)の「成長」を同時に進め、盗塁阻止率12球団ワーストに終わった捕手陣を強化していく方針を示した。

 自らの現場復帰は、あずかり知らぬところで決まっていた。石原氏は盟友と言える新井監督から電話で伝えられた。「(自分が)監督をするから(石原氏が)コーチやるよ」。2人の信頼関係が見える就任要請に「(受諾するかの)選択権が(自分に)なかった」と苦笑いするも、「カープに恩返しをしたい。迷いはなかった」とすぐに腹は決まった。

 捕手次第でチームは再建できるとみている。「打てて守れる捕手は、素晴らしいと思う。だけど、勝てる捕手が私の中で目標とする捕手像。目の前の試合や1年間通して、勝ち切れる捕手を目標にして頑張ってほしい」。会沢、坂倉、磯村ら打力を売りとする捕手がそろう一方、今季の盗塁阻止率・204は12球団最低。現役時代に高い守備力で16年からのリーグ3連覇を支えたように「勝てる捕手」を求めた。

 来季の捕手陣は、今季打率・207に低迷した会沢が復調を期し、来季から捕手一本で起用される坂倉が正妻奪取を狙う構図。「会沢選手はいろんな経験、知識を持った選手で離脱してもらっては困る。坂倉選手も磯村選手もいる。みんな外れてもらっては困る選手」と言及し、「会沢の復調」と「坂倉の成長」を同時並行で進めながら競争を活性化させていく構えだ。

 「誰か1人が(正捕手として)座ってくれたらいいのかなと思う気持ちもあるけど、ただ今の野球は、そうではないというのもある。みんなが“よしやろう!”という気持ちで来てくれると思うので、様子を見ながらやっていきたい」。捕手陣が転換期を迎えつつある時期でのコーチ就任。現役時代同様に、冷静に最善の判断を下す。(河合 洋介)

 <石原と一問一答>
 ――勝てる捕手に必要なことは。
 「まずは自分たちの投手を知ること。知った上で目の前の試合から1年間通して我慢強く戦ってほしい。諦めることなく、我慢強く戦うことができれば、勝ちにつながると思う。みんな同じ気持ちを持ってやってほしい」

 ――捕手一本での起用になる坂倉をどのようにして鍛えるか。
 「捕手をしていなかったことで感覚や動きにブランクがあると思う。このオフを有効的に活用し、また(今季)三塁を守って得たものも生かしてほしい」

 ――今季不振の会沢は。
 「まだまだ年齢的にも老け込む年ではない。もう一度心と体のケアをしっかりとして、来春に備えてほしい」

 ◇石原 慶幸(いしはら・よしゆき)1979年(昭54)9月7日生まれ、岐阜県出身の43歳。県岐阜商から東北福祉大を経て01年ドラフト4巡目で広島入り。リーグVの16年は正捕手を務めベストナイン、ゴールデングラブ賞。20年引退。通算1620試合で打率・236、66本塁打、378打点。09年WBC日本代表。右投げ右打ち。

 《球団本部長も期待「いいチームをつくってくれる」》
 鈴木清明球団本部長は石原氏のコーチ就任に「今の選手のことも知っているし、外から見た(チームの)弱みも分かる。いいチームをつくってくれるのではないか」と期待を寄せた。20年の引退から3シーズンぶりの現場復帰で即1軍を担当。「あの監督には、このコーチしかいない。(2人は)セットだ。新井監督の時代になれば、石原が一番合うだろうと考えていた」と就任要請の裏側を明かした。

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