阪神・矢野監督、11ゲーム差から逆転優勝へ決意表明 「本当のスタートやね。ここから」

[ 2022年7月29日 05:15 ]

シート打撃に登板したケラー(右)に声をかける矢野監督(撮影・成瀬 徹)
Photo By スポニチ

 阪神・矢野燿大監督(53)が後半戦開始を翌日に控えた28日、「ここから本当のスタート」と決意表明した。最多借金16から盛り返し、勝率5割の2位タイ。29日からは11ゲーム差で追う首位・ヤクルトとの直接対決3連戦を迎える。最大17差から逆転すれば、球史に残る奇跡的偉業。今季限りでの退任が決まっていて残り49試合に死力を尽くす姿勢を改めて強調した。

 やっと胸を張って宣言できるところまでたどり着いた。悪夢の開幕9連敗に始まり、一時は最多16まで膨らんだ借金生活。前半戦最後のDeNA3連戦に全勝し、怒とうの巻き返しで勝率5割ターンを決めた矢野監督は、29日から始まる後半戦への強い決意を言葉にした。

 「俺の中では(3連勝が)必須というか。2勝1敗じゃ、やっぱりちょっと乗っていきにくい。3つ目を勝ってこその後半戦スタートというのがあった。みんなで、ああやって(試合を)つくってくれて5割スタートができた。舞台が整ったみたいなことを俺も言ったけど、本当のスタートやね。ここから」

 開幕17戦1勝はプロ野球史上初で、勝率・063も史上最低。5月31日には球団では今世紀最速で自力優勝の可能性が消滅するなど黒歴史ばかりを塗り替えた。ならば、今度は球界の常識を覆す奇跡の逆転劇を見せる番だ。

 ヤクルトとは6月30日から7月4日まで最大17ゲーム差をつけられていた。プロ野球史上の最大の逆転優勝は63年西鉄の14.5差。矢野監督自身が「奇跡やドラマが起こるとなれば、とんでもないことになる」と認める難行に、本気で挑む。

 くしくも後半戦はヤクルトとの直接対決で開幕。26、27日の球宴には敵将・高津監督とともに全セのコーチ、監督として参加し、談笑する場面もあった。

 「そういう機会は、コロナになってさらになくなっているので新鮮。(ライバル同士でも)それとこれとは別やから。大きな枠では野球界のために、というのはお互いある。ここからまた真剣勝負が始まる。それはお互い分かっていること」

 もちろん、この3連戦の重要さは承知している。直接対決12試合を残す中、勝ち越しは絶対条件、3連勝できれば5月5日の7.5差以来の接近となる8差まで迫れる。

 「ヤクルトとの直接対決は残っている。そこではやっぱり大きく勝ち越すことが必要になってくる。現状でいえば、ヤクルト戦は俺らにとっては特別になる」

 監督生活もレギュラーシーズンは残り50試合を切った。1日でも長くユニホームを着るため、全身全霊を傾ける。(山添 晴治)

【過去最大63年西鉄の14.5差】阪神の過去5度のセ・リーグ優勝で、最大ゲーム差からの逆転優勝は64年の6.5差。07年には6月29日時点の首位と12.0差から56試合後の9月8日に首位に立ったことがある。最大ゲーム差からの逆転奪首としては球団記録で、同年は3位だった。プロ野球の最大ゲーム差逆転優勝は63年西鉄の14.5差。7月12日の最大差から77試合後の10月8日に首位に立ち、同20日に優勝を決めた。今季ヤクルトとの最大ゲーム差は6月30日から7月4日にかけての17.0差。逆転優勝すればプロ野球記録を59年ぶりに塗り替える。

続きを表示

2022年7月29日のニュース