東京ガス、連覇王手 「代打の神様」建部V打、今大会代打で4打数3安打3打点

[ 2022年7月29日 05:00 ]

第93回都市対抗野球準決勝   東京ガス7-3トヨタ自動車 ( 2022年7月28日    東京D )

<東京ガス・トヨタ自動車>7回、勝越し適時打を放つ東京ガス・建部(撮影・久冨木 修)
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 準決勝2試合が行われた。前年覇者の東京ガス(東京都)はトヨタ自動車(豊田市)と対戦し、7回に代打・建部賢登外野手(31)が決勝の右前適時打。12、13年のJX―ENEOS(現ENEOS)以来、史上6チーム目の連覇へ王手をかけた。ENEOS(横浜市)はNTT東日本(東京都)にサヨナラ勝利。決勝は29日、午後6時から東京ドームで行われる。

 「代打の神様」と呼ばれる理由は鋭い読みと、追い込まれても動じない精神力にある。3―3の7回1死満塁。今大会4度目の勝負どころで、代打で登場した建部は冷静だった。1ストライクから、左腕・長谷部の140キロ台の直球を2球続けてファウルした。

 「変化球は少し意識していた」。4球目は狙い通りのスライダー。鋭いスイングで右前にはじき返し、決勝打となった。代打で4打数3安打3打点。驚異の成功率.750だ。

 入社10年目の31歳。「代打の神様」までの道のりは平たんではない。17年の都市対抗直前に右膝前十字じん帯を手術。完治せず、18年にも2度目の手術に踏み切った。以降は地道なリハビリをこなしつつ、試合ではベンチで戦況を読みつつ、出番に備えた。「打席に立つのは一人。集中して準備を整えつつ、結果を出さないといけない」。チームが都市対抗を初制覇した昨季は代打で1打数無安打だったが、今大会は勝利への貢献度が高く、充実の表情を浮かべた。

 2連覇へ王手をかけた山口太輔監督もベテランを絶賛した。「練習はうそをつかない。これだけ打てるなんて、野球の神様が見ていてくれたのかな」。監督に就任した18年に当時主将だった建部が苦しんでいた姿を見守ってきたからこそ、感無量の面持ちだった。

 建部は言う。「チームは連覇を目指してやってきた。僕も気持ちは高ぶるんですが、いつも通りやってきたプレーを出すことに変わりはありません」。決勝の大一番。「代打の神様」はベンチ裏でバットを振り続け、勝負どころで打席に立つ。(伊藤 幸男)

 ◇建部 賢登(たてべ・けんと)1990年(平2)10月5日生まれ、東京都出身の31歳。大坂上中では東京日野シニアに所属。桐光学園2年夏に甲子園出場。法大では2年春からレギュラー。4年秋に東京六大学リーグのベストナインに選出され、明治神宮大会では三嶋(DeNA)らと準優勝。1メートル70、70キロ。右投げ左打ち。

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