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317勝左腕の鈴木啓示氏が母校・育英高を訪問 後輩激励「OBとして名門復活を願いたい」

[ 2022年5月21日 19:25 ]

母校の育英高校ナインを激励に訪れた鈴木啓示氏
Photo By スポニチ

 プロ野球歴代4位の317勝を挙げた鈴木啓示氏(スポニチ本紙評論家)が21日、母校の育英高野球部を訪問し、熱いメッセージで後輩を激励した。

 神戸市須磨区の同校第2グランドで、部員72人に約30分間の熱弁。「練習は不可能を可能にする」と語り始め、育英在学中の練習や近鉄在籍20年間の経験を披露した。

 鈴木氏が入学当初は同期が約100人、投手だけで40人近くいた。「めちゃくちゃ怖かった」という監督から300球の投げ込みを課され、200球を超えてへばってきたあたりから腕力に頼らず、足腰の回転で投げる方法を習得できたという。

 「ピッチングはコツとタイミング。それは数をこなさないとつかめない」

 練習方法の違いがあることは認めながらも、体力に合わせて自らを追い込む練習の必要性を説いた。

 訓辞の後には岸田琉生主将(3年)が「どういうバッターが対戦していて嫌でしたか」と質問し、鈴木氏は「ホームランを打つバッター」と回答。世界記録の通算被本塁打560本を持つ投手らしい答えだった。

 「ピッチャーにとって一番の屈辱はホームランを打たれること。打者がベースを回る間は手持ちぶさただから、汗もかいていないのに帽子を取って汗をぬぐったり、ほどけてもいない靴ひもをほどいて結び直したりしていた」

 そんな時間稼ぎをしても、振り返るとまだゆっくりとベースを回っていたのが南海の野村克也さんだったという。

 「その姿を見て『次は絶対に打たれたくない』とか『三振が取れる球種を覚えてやる』と思った。自分が長く野球ができたのも野村さんのおかげ」

 そして、多くの本塁打を浴びた鈴木氏が「一本も打たれなかった」というコースが外角低めだ。

 「打者が右でも左でも、球種がストレートでもカーブでも関係なく、アウトローにきっちり投げればホームランだけはない。だから、困ったらアウトロー。ただ、それは日ごろの練習からきっちり身につけておかなくてはいけない」

 数々のエピソードに触れた岸田主将は「鈴木さんがおっしゃった『練習は不可能を可能にする』は大事なことだと思った。鈴木さんがアウトローに自信を持っていたように、自分も自分だけの長所を見つけていきたい」と日々の練習を大切にすることを誓った。

 一方の鈴木氏は「人の前で話すことで、自分の言葉に責任を持つことになり、自分を律することにつながる。初心に帰れたような気分ですね。きょうの経験を今後の人生に生かしていきたい」と振り返り、偉大なOBの言葉を聞き逃すまいと耳を傾ける選手たちの姿に逆に刺激を受けた様子だった。

 鈴木氏は22年2月、元プロ野球関係者が高校野球や大学野球の指導者に必要な「学生野球資格」を回復。「後輩の前に立って声を掛けられる立場になりたいと思っていた」。育英は春夏合わせて19度の甲子園出場がありながら、近年は同じ育英を校名に含む仙台育英や前橋育英が甲子園大会をにぎわせている。レジェンド左腕はそんな状況を残念に思い「1日や2日でできるものではないが、OBとして『育英』の復活を願いたい」と、05年春を最後に聖地から遠ざかる名門の復権に期待した。

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