槙原寛己氏が語る上原 忘れられない“涙の敬遠”「頑固で素直で一本気な男」

[ 2019年5月21日 07:43 ]

巨人・上原が引退表明

99年のヤクルト戦、敬遠の指示に涙を流す上原
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 99年10月5日のヤクルト戦。入団1年目の上原は、松井と本塁打争いをしていたペタジーニへの敬遠指令に涙を流して悔しがった。彼と一緒にプレーした中でも、最も印象に残るシーンだ。

 上原は頑固だ。自分が「これ」と思ったら決して曲げない。試合中のあの場面、普通は泣くことはできない。そういう思いは隠すのがプロだ。しかし彼は我慢できなかった。頑固だけど素直で、ごまかしの利かない一本気な男。そういう信念がなければ生き抜けないのも、またプロの世界だと思う。

 私がチームの抑え役だった99年、彼は入団してきた。コントロールとボールの切れが抜群で、それこそが上原にとっての生命線。加えて体にバネがあり、フォームも躍動感にあふれていた。1浪して大卒での入団でも、長くプレーできるだろうな、という印象だった。日米で21年間。私も先発、リリーフを経験した。「頑張ってほしい」との思いは他の選手に対してより強かった。今は「お疲れさん」と声を掛けたい。

 メジャー時代もインタビューをさせてもらう機会があった。米国では、とにかく野球以外に興味のない、野球中心の生活。それが44歳までプレーできた要因の一つだ。やり切った野球人生だと思う。今はゆっくり休んでほしい。(スポニチ本紙評論家)

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2019年5月21日のニュース