NBAに衝撃! スターン前コミッショナーが死去 77歳 リーグ隆盛をもたらした功労者

[ 2020年1月2日 08:52 ]

1996年、シーズンMVPトロフィーをブルズのジョーダンに手渡すNBAのスターン前コミッショナー(AP)
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 NBAのコミッショナーを30年間にわたって務め、リーグの存在価値を世界的なものに押し上げたデビッド・スターン前コミッショナーが1日、ニューヨーク市内の病院で死去。77歳だった。

 スターン氏は12月12日にニューヨーク市内のレストランで脳出血で倒れて病院へ緊急搬送。手術を受けたもののついに帰らぬ人となった。これを受けてアダム・シルバー現コミッショナー(57)は「バスケットボール界全体がうちひしがれている。デビッドがいたからこそNBAは真の世界的ブランドとなった。偉大なコミッショナーとしてだけではなく、最も影響力のあるビジネス・リーダーだった。NBAに関わっているすべての人間は彼の視野と発想の恩恵を受けている」という追悼のコメントを寄せ、その存在の大きさを振り返っていた。

 顧問弁護士として“NBA入り”を果たしたスターン氏は1984年2月1日に第4代コミッショナーに就任。奇しくもその年のドラフトで、やがてリーグの看板スターとなるマイケル・ジョーダンが全体3番目でブルズに指名された。

 その後はリーグの“大改革”を敢行。薬物規定、年俸制限制度(サラリーキャップ)、ドレスコード、インターネットの公式サイトによる試合結果の速報などを次々に導入した。2014年にシルバー氏にコミッショナーの地位を譲ったあとも様々な形でリーグの運営に貢献。コミッショナー在位30年の間にヒートやマジックなど7チームが新たに誕生し、女子のプロリーグ(WNBA)やNBAの下部リーグ(現Gリーグ)なども創設して米国内での選手の“受け皿”を整えた。

 日本を含めた海外での公式戦も実現させ、200以上の国と地域でNBAの試合中継を可能にするなどリーグのグローバル化にも成功。リーグの年間収入はすでに50億ドル(約5500億円)以上に達し、選手の平均年俸は北米4大スポーツの中でトップとなる770万ドル(約8億4000万円=2019年シーズン)となった。そしてジョーダン、マジック・ジョンソン、コービー・ブライアント、レブロン・ジェームズといったスーパースターたちがその“土台”から世界に羽ばたいていった。

 その一方で批判されることも多かった。とくに1998年と2011年の労使紛争(ロックアウト)ではオーナー寄りの姿勢が批判を集め、期限までに合意できなかったためにレギュラーシーズンの短縮という緊急事態に追い込まれた。

 それでもNBAのサラリーは右肩上がりで、今年のドラフトで全体9番目にウィザーズに指名された八村塁(21)の今季年俸も446万9160ドル(約4億9000万円)と日本のスポーツ界からすると破格の“初任給”となっている。過去に労使紛争で敵対関係にあったNBA選手会側も「交渉では敵対していたが、彼は選手の価値を見失うことはなかった。リーグを繁栄させるための視野をきっちり持っていたし、それが今の隆盛につながっている」とその功績を認めていた。

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