飛び込み・玉井陸斗、抱負は「勝」 13歳10カ月で迎える東京五輪 日本男子最年少記録へ

[ 2020年1月2日 09:45 ]

10代アスリート いざ飛躍

男子最年少出場へ向けて練習する飛び込みの玉井
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 東京五輪では10代選手の活躍も期待される。飛び込みの玉井陸斗(13=JSS宝塚)は五輪出場となれば、13歳10カ月で日本男子最年少記録となる。2月の国際大会派遣選考会(東京辰巳国際水泳場)で日本代表となり、4月のW杯東京大会(東京アクアティクスセンター)で18位以内に入ることが夢舞台への条件。新年の目標に、五輪出場だけでなく、メダル獲得を掲げた。

 2020年をどんな年にしたいか――。そう問うと、玉井は色紙に「勝」と書いた。昨年4月の日本室内選手権、同9月の日本選手権の高飛び込みで、ともに史上最年少優勝を達成。国際水連の年齢制限で同7月の世界選手権(韓国・光州)には出場できなかったが、実力は世界トップに引けを取らない。出場が有力視される東京五輪に向け「メダル争いをしたい。種目の難易度はシニアのレベルでも高い方にいる。全ての種目をしっかり真っすぐ飛ぶことができたらメダル争いもできなくはない」と力を込めた。

 昨年11月にはグランプリのマレーシア、シンガポール大会を連戦し、ともに銀メダル。中国勢など世界選手権のファイナリストがそろう中で好成績を収めた。19年を表す漢字に「笑」を選び「いろいろな経験ができて、良い結果で笑うことができた」。世界との距離を把握できたことも収穫で「国際大会で何本か良い得点を出せているが、1、2本ではダメ。全ての技をしっかり決められるようにしたい。マレーシアもシンガポールも同じ中国の選手に負けたが、もう少し頑張れば1位になれたと思う」と振り返った。

 ケガ予防のために自転車には乗らず、体育の授業ではサッカーやバスケ、バレーボールなど球技は見学する。馬淵崇英コーチ(56)の助言を受け、昨年4月のシニアデビュー戦後から自粛している。自転車で遊びに出掛ける友人と行動をともにするため、1~2キロを走ることはザラだ。遠征や練習漬けの日々で友人と遊ぶ機会自体が少ないが「もっと友達と遊びたいと思う時もあるが、遠征も楽しい。学校で“テレビで見たよ”とか言われると、もっと頑張ろうと思う」とストレスはない。

 身長1メートル47、体重41キロ。シニアデビュー後の8カ月で身長は4センチ、体重は5キロ増えた。急激な成長に筋力が追いつかず、一時は体の回転力が落ちたが、体幹強化など陸上での練習を増やすことで改善。シニアデビュー前から体が大きくなることを想定しており「体重が重くなった分、筋肉をつけて、前と同じようにジャンプできるようになった」と適応は早かった。

 10メートルの飛び込み台からの練習を本格的に開始したのは18年夏。2月の国際大会派遣選考会で日本代表となり、4月のW杯東京大会で18位以内に入れば、競技開始から2年足らずで五輪出場を手にする。13歳10カ月で迎える東京五輪に出場すれば、1932年ロサンゼルス五輪競泳男子金メダルの北村久寿雄(14歳10カ月)を抜く日本男子最年少記録となるが「メダル争いを意識しているので、最年少はあまり関係ない」と言い切った。五輪の表彰台に立てば日本飛び込み界初の快挙。堂々とした口ぶりと、6パックの腹筋は、とても13歳とは思えない。

 ◆玉井 陸斗(たまい・りくと)2006年(平18)9月11日生まれ、兵庫県宝塚市出身の13歳。東京が五輪開催地に決まった13年9月7日は6歳で「記憶にない」。3歳から通っていた水泳教室で開催された飛び込み体験に参加したことを機に小学1年時から競技を開始。シニアデビュー戦の昨年4月の日本室内選手権で優勝。趣味はゲーム。好きな食べ物は焼き肉。1メートル47、41キロ。

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