松山英樹 初出場濃厚、東京五輪へ強い意志――積み上げた1打の向こうに金メダルは見えてくる

[ 2020年1月2日 09:00 ]

色紙に大きく「金」と書いた松山英樹(撮影・森沢裕)
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 男子ゴルフで日米通算13勝の松山英樹(27=LEXUS)が都内で単独インタビューに応じ、東京五輪での金メダル獲得への強い意欲を示した。19年を進化の年と振り返りつつ、さらなる飛躍が期待される20年を見据える。17年8月以来の米ツアーでの勝利、そして初出場が濃厚な五輪への思いを語った。

 ――19年を振り返って、どんな一年でしたか?
 「良いときもあったし、悪い時もあった。それでも2020年に向けて、いいシーズンだったなとは思います」

 ――ツアー最終戦を終えた時に、手応えを口にしていました。
 「いいものも凄くあったかなと。自分自身と人が見ていいものとは違うとは思うんですけど、いろんな人に見てもらって、客観的に自分を見ることができたんで」

 ――具体的にはどういう部分ですか?
 「自分の癖が分かった。やりながらいろいろ考えたら、こういう感じかなって。今まで正しかったことも、ダメだったこともあった。それで練習内容も変わってきました」

 ――日本でトップオブトップの選手が、他の人に聞くことはハードルが高いように見えますが。
 「(抵抗とかは)ないんですよ。今まで言ってなかっただけで、全然聞きますし。こうやって言うようになったのは、言わないといつまでたっても変わっていないと思われるのが凄い嫌だった。もう言っちゃおうって。いろんな人の意見はちゃんと聞いていますし、意見を聞くのは嫌じゃないです。自分がどう見られているか、自分のゴルフはどうなっているか。チームの人でも気付かない部分は絶対ある。それを言えるようになって、楽になった部分はありますよ」

 ――今年は日本で五輪が開催されます。昨年に日本で初開催された米ツアーのZOZOチャンピオンシップでは松山選手にたくさんの声援が飛んでいました。
 「間違いなく励みになりますね。いろんな選手がいる中でも、日本ということで自分の名前を呼んでくれたり。普通のPGAツアーではありえないこと。凄くうれしかったです」

 ――五輪では普段ゴルフを見ない人も、興味を持つ機会になるのでは?
 「そこは僕らにはどうにもできないです。一番早いのは、金メダル獲ったら見てくれると思うので。だから、金メダルを獲りたい気持ちはありますね」

 ――松山選手にとって、五輪の思い出は何かありますか?
 「あんまり見てないですけど、(04年アテネ五輪の)体操男子団体の金メダルとか(ウサイン・)ボルトの金メダルですかね。あとなんだろう…(08年北京五輪の)ソフトボールの上野さん。視聴率が50%に近かったことを覚えています。普段は見る機会の少ないスポーツも、金メダルで見るわけじゃないですか。金メダル獲ると、スポットライトも当たりますし」

 ――いずれも団体競技ですよね?
 「体操も団体で獲ったから凄いみたいなところがあるじゃないですか。ラグビー(W杯)もそうですけど、チームスポーツになった瞬間みんなが盛り上がるみたいな。だからこそ、この前の(AIG全英女子オープンを制し、ブームを巻き起こした)渋野日向子は凄いなって思うんですよ。なかなかないことだと思うので」

 ――五輪の舞台は埼玉県の霞ケ関カンツリー倶楽部。2010年のアジア・アマチュア選手権を同コースで制し、マスターズ出場につながった場所です。
 「それはありますよね。僕は霞ケ関でやりたい気持ちはあります」

 ――同コースといえば、17年に米国のドナルド・トランプ大統領、安倍晋三首相とのラウンドがありました。
 「どうやって回ればいいのか分かんないですよね。普通に淡々とゴルフすればいいのか、トランプさんや安倍さんの近くに行って話をするのか分からないので(笑い)。“こういうゴルフって難しいなあ”って思いながらやっていましたね。楽しめたか?いやいや、楽しめたら凄いっす」

 ――年末年始の調整などで課題は?
 「う~ん、思ったより疲れはあるのかな。自分がこれまで(米国で)5年間やった中で自分の体の変化が凄い見えた年だった。思ったより自分がへばっているな、と。休みたいなと思いますね」

 ――ところで、米国で休みの日は何をして過ごしていますか?
 「なにしてるでしょうね~(笑い)。ゴルフしかすることない。買い物とか?だって、買う物ないですもん。服買っても着る時ないじゃないですか。私服は10枚くらいあれば十分。毎日毎日着ました、はい捨てます!じゃないですからね?(笑い)」

 ――男性だとスニーカーを買ってコレクションしている人とかも多いですが。
 「ああ!ナイキのスニーカーとかは好きですね。よく買いに行きます。自分のお気に入りがあれば買っちゃいますけど…悩みますね。買おうかな、どうしようかなって。先週予選落ちしたからやめようかな~とか、予選落ちしたから靴を替えて新しいのでいこう!とか。めっちゃ気にするんですよ。験とか担ぐんで」

 ――松山選手が験を担ぐのは意外な感じがするのですが…。
 「最初に着て良かったら、次も着ていいとか。1回目でダメだったら、このウエアは一生着ることないとか(笑い)。セットで送ってくれますけど勝手に自分で入れ替えてます」

 ▽出場資格 男子は18年7月1日から20年6月22日時点までの2年間で算出する世界ランキングに基づいた五輪ランキングで出場資格が決定される。上位60人が出場資格を獲得。15位以内は各国最大4人まで、16位以降は各国最大2人を上限としている。現在の日本男子は1番手が松山英樹(世界ランク21位)、2番手に今平周吾(同31位)、3番手には石川遼(同81位)が続いている。

 《ウッズ、マキロイらの共演実現も》○…有力選手が参戦を見送ったリオから一転、東京には米ツアーの有力選手が多数やってくる。昨年4月のマスターズで完全復活をアピールし、日本初の米ツアー開催となった10月のZOZOチャンピオンシップで初代王者となったタイガー・ウッズは米国で4、5番手の位置をキープするが「自分にとってのチャンスは少ない。代表入りできるなら歓迎」と意欲。欧州からはロリー・マキロイがアイルランド代表としての参戦を表明。世界ランク1位のブルックス・ケプカ(米国)らの参戦も見込まれ、豪華メンバーが来日しそうだ。

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