金哲彦氏、箱根駅伝注目は東京国際大 1区抜け出し往路かき回すか

[ 2020年1月2日 07:30 ]

第96回箱根駅伝 来年1月2日号砲

箱根駅伝予選会1位で本戦出場を決めた東京国際大の選手たちは、ガッツポーズで喜びを爆発させる(撮影・尾崎 有希)
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 2連覇を目指す東海大が“黄金世代”のラストイヤーで有終の美を飾るかに注目が集まる今大会。早大時代に山上りの5区で活躍し、現在は駅伝、マラソン解説者を務める金哲彦氏(55)が今大会の見どころを語った。東海大の優位は揺るがないとしながらも、層の厚さで勝負する青学大、大エース擁する東洋大に加えて往路をかき回す可能性があるダークホース東京国際大もポイントに挙げた。

 主力に大きな故障者がいない東海大の強さは盤石だ。29日に発表された区間エントリーを見ても昨年優勝を経験した選手5人が各区間に名を連ねた。館沢亨次主将、阪口竜平らエース級の4年生を補欠に回して、どんな状況にも対応できる万全の態勢だ。昨年まで6区を務めた中島怜利がいない山下りがポイントだが、選手層が厚いことにに加え、大学の立地的にも箱根の山の試走をできるので有利なのではないか。

 待ったをかけるのが青学大。今季はいまだ無冠だが、箱根に合わせてくる調整力はずばぬけている。2年時に3大駅伝全てで区間賞を獲得したエース吉田圭太(3年)を補欠に回した。吉田をどこに配置するかが原監督の腕の見せどころとなる。東洋大は1区の西山和弥(3年)が3年連続区間賞の走りで2区のエース・相沢晃(4年)につなぐことができれば往路新記録での優勝も見えてくる。

 個人的に注目しているのは予選会をトップ通過した東京国際大だ。当日変更で1区に1万メートル27分台の留学生のビンセント(1年)が来ると一気に高速レースの様相になる。2区には予選会日本人トップの伊藤達彦(4年)が待ち受けるため、かつて大迫傑(早大)や佐藤悠基(東海大)が1区序盤から抜け出したようになれば、往路をかき回す存在になる可能性は十分だ。

 “いだてん”金栗四三の母校・筑波大にも期待している。予選会に注力した分、本戦は厳しい戦いになると思うが、出場したことが素晴らしい。今大会でどういう戦いをするかによって、来年以降の筑波大にとって大きな財産になる。

 今年は東京五輪イヤーでもある。学生ランナーの中からもトラックで五輪を目指せる選手に注目してほしい。特に東洋大の相沢、東海大は3000メートル障害の阪口、1500メートルの館沢だ。彼らは箱根駅伝が終わりではなく、箱根から先のことを考えてやっているはず。金栗が掲げた「箱根から世界へ」の目標に向け、学生ランナーたちが箱根から五輪へと羽ばたいていく姿を追いかけるのも面白い。(駅伝マラソン解説者)

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2020年1月2日のニュース