藤井王位3連覇 最年少&最速!敗退なしでタイトル獲得10期到達、中原16世名人&羽生九段超え

[ 2022年9月7日 05:30 ]

王位戦3連覇を果たし花束を手にする藤井王位(撮影・西海健太郎)
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 将棋の第63期王位戦7番勝負第5局は6日、静岡県牧之原市の平田寺(へいでんじ)で第2日を指し継ぎ、後手の藤井聡太王位(20)=王将、竜王、叡王、棋聖含む5冠=が128手で挑戦者・豊島将之九段(32)を下した。シリーズ成績は藤井の4勝1敗となり、王位戦3連覇を達成。20代初戴冠と同時にタイトル戦敗退なしで、初タイトルから2年1カ月の史上最速、史上最年少(20歳1カ月)でのタイトル獲得10期に到達した。

 形勢不明の終盤戦に決着をつけたのは、またもや藤井だった。対局場が夕闇にすっぽりと包まれた午後7時15分。「常に中盤から(自身の)王が薄い。自信のない将棋でしたが(最後まで)崩れずに指すことができました」。死力を尽くして勝利をたぐり寄せ、防衛を決めた王者の弁からは地味ながら独特の風格が漂っていた。

 今シリーズ5局連続の角換わり腰掛け銀。「豊島さんとテーマが重なることが多いのかなと」。番勝負では戦型のローテーションを組むのが主流なのに、この2者には常人には計り知れない別次元のこだわりがある。あまたある前例から抜け出したのは藤井だ。自身の飛車を4筋に据える新趣向。「この形になったらやってみようと思っていました」。定跡にない重厚なねじり合いとなった序中盤。かすかにリードを奪っても、豊島の驚異的な粘りに遭遇して振り切ることができない。

 膠着(こうちゃく)状態を絵に描いたような展開が続き、時間だけが経過していく。自王をニュートラルな中住まいに据え、開局早々に交換した角の打ち込み場所を必死に探る。そして迎えた94手目。満を持して放った自陣への角。俗に言う「遠見の角」は間接的に相手王を捕捉した。堅陣を徐々にこじ開け、もぎとった飛車を相手1段目に打ちつけて寄せに入る。絹糸のようなか細い攻めを最後の最後まで通し続けた。

 これで王位戦3連覇。そしてタイトル10期到達は棋界最年少記録。「あまり意識していることではない。どの対局もいい状態で臨めるようやっていきたい」と、例によって数字には全く興味を示さなかった。それでも7番勝負のスコアを拾い出すと4連勝が3度、4勝1敗が2度。つまり2敗以上がない。その傑出ぶりは筆舌に尽くしがたい。

 息をつく暇もなく、10月7日にはこちらも防衛戦の竜王戦7番勝負が開幕する。年明けには第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)が控える。5冠をキープしながら、現在予選中の棋王戦(例年2、3月)でも挑戦をうかがう藤井は「今回感じた課題を次に生かしたい」と繰り返した。年度内6冠達成の道から外れることはない。

 《ランチは「かつおづけ丼》第2日のランチは藤井が「かつおづけ丼」、豊島が「まきのはらトップメシ(おにぎり)」と「鶏塩そば(単品)」をそれぞれ注文した。「かつおづけ丼」は新鮮なかつおを特製の調味液につけ、ご飯の上にたっぷり乗せて提供される逸品。「まきのはらトップメシ」は地元のトマトともち米を使ったおこわで、ともに地元色の濃い将棋メシだ。

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