CAS仲裁人・早川吉尚氏 薬物摂取に「反応をコントロールができてしまう…ただ人間は体調が悪くなると」

[ 2022年2月17日 15:26 ]

東京・赤坂のTBS社屋
Photo By スポニチ

 日本アンチ・ドーピング規律パネル委員長で、スポーツ仲裁裁判所(CAS)仲裁人も務める、立教大学法学部教授で弁護士の早川吉尚氏が17日、TBS「ひるおび!」(月~金曜前10・25)に出演。昨年12月のドーピング違反が発覚しながら北京五輪出場継続が認められ、フィギュアスケート女子SPで1位となったカミラ・ワリエワ(15、ロシア・オリンピック委員会=ROC)について言及した。

 15日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、ワリエワからは禁止薬物トリメタジジン以外に、心臓疾患の治療に使用される「ハイポキセン」「L―カルニチン」が検出されたことが明らかになった。ともに禁止物質ではないが、ダイエット効果がある「L―カルニチン」は注射などによる制限値を超えた投与は禁止。心臓への酸素供給を助ける「ハイポキセン」は米国反ドーピング機関(USADA)が最近、禁止薬物指定を訴えて実現しなかった。USADAのタイガート委員長は3種類の薬を組み合わせた服用の利点を「持久力の向上、疲労の軽減、酸素消費効率の促進」と説明。世界反ドーピング機関(WADA)は、2種類の薬物検出はトリメタジジンを誤って摂取したとのワリエワの主張と合わないと指摘している。

 早川氏は、現在のドーピング事情について「実は陽性反応が出るか出ないかというのも、やろうと思えばコントロールができてしまうんですね」と言い、「試合には検体採取されるのは分かってますので、その何日か前に薬抜きをしてしまうと。その計画というものを立ててしまえばできてしまう。抜き打ち検査っていうのもあるんですけれども、こちらも現地のアンチ・ドーピング機関が果たして情報をリークせずにきちんとやっているのかというところ。これも重要になってきて、場合によってはそれでも計画を立てて薬抜きができるってこともあります」と説明した。

 その上で「ただ人間は体調が悪くなると、代謝が悪くなるということが起こりますので、計算通りにいかなくて陽性反応が出てしまって、それをきっかけに、実はその背後に組織的なドーピングがなされているというのが発覚したケースというのが、実はたくさんある」と話した。MCの恵俊彰が「ということは、12月25日の検体、本来はそこからは出るはずがない日程だったにもかかわらず、何か体調の変化があって今回出てしまった可能性も」と聞くと、「そうだった可能性はあります。そういう完全にコントロールする医者がいると。一般的に残念ながらそういう方々がいらっしゃって、私は何の知識もなく“そういった方もいらっしゃいますね”って、前から言ってたんですが、どうも今回のフィギュアの選手団の中に、かつて4年間資格をはく奪された、そういったことに手を染めていた方がちゃんといらっしゃったというのも、どうやら分かってきたということですね」と話した。

続きを表示

2022年2月17日のニュース