「鬼滅の刃」 商標めぐる“偽滅の戦い”も過熱

[ 2020年12月17日 16:02 ]

「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(C)吾峠呼世晴 / 集英社・アニプレックス・ufotable
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 人気漫画「鬼滅の刃」のタイトルや劇中の登場人物らに使われる「鬼滅」や「滅」などの漢字を巡り、出版元の集英社が“商標バトル”に巻き込まれていることが分かった。

 特許情報データベース「J―Plat Pat」によると、今年2月上旬に大阪府の企業が「鬼滅(呼称オニメツ、キメツ)」を、同下旬に愛知県の経営者が「滅(メツ)」と「柱(ハシラ)」の商標登録を出願していた。なお「柱」は劇中に登場する力量の高い剣士の称号。

 一方の集英社側は6~7月に「鬼滅(キメツ)」など10を超える語句やロゴなどを商標出願した。第三者によって「鬼滅の刃」を連想する文字が登録されることで、グッズ製作などに影響が及ぶことを懸念したためとみられる。

 鬼滅ブームの裏で、秘かに展開されていた商標バトル。特許庁は7月末、大阪の会社による「鬼滅」の出願について「鬼滅の刃を表す標章として広く認識されている」との理由から登録を拒絶したが、一方で「滅」と「柱」に関しては7月上旬に登録を認めた。

 「滅」などを出願した経営者は3月に「早期審査」を申請しており、これを特許庁が4月に受理。審査に入っていた。商標の登録審査は通常1年ほど掛かるが、早期審査が認められれば大幅に期間を短縮される。

 この経営者はスポニチの取材に対し「滅」や「柱」を出願した理由を「“最悪の状況を発想で乗り越える”をテーマにした漢字グッズを発売するため、他の言葉とともに申請した」と説明。ただ、作品人気の高まりから「便乗商法になってしまうため(滅などの)文字を使った商品を企画、販売する予定はない」としている。今後について「ライセンスを貸し出すこともない」としている。

 それでも集英社をよく知る関係者によると「物語の著作権は作者にあるのに、商標を押さえられたことで、著者が許諾しても正規のグッズ展開が自由にできなくなっている」という。例えば「滅」は、劇中で鬼を倒す部隊「鬼殺隊」の衣装に大きく書かれているが、同様の衣装やTシャツなどのグッズは、作者や集英社の許諾を得ても商標侵害に当たる恐れがある。

 そんな中、集英社は6月、主人公の竈門炭治郎が着用する羽織の「緑と黒の市松模様」など、登場キャラを象徴する6つの模様を商標申請した。申請した柄はいずれも伝統的な和柄のため、ネット上には批判の声もある。

 スポニチの取材に集英社は「悪質な便乗商品、違法なコピー商品が大量に出回っている現状があり、ファンの皆さまが混乱している」などとした上で「違法コピーや便乗品の流通を阻止するためには、商標権を確保する必要がある。作品に由来する色や形、形状比率や指定商品などを限定して、図柄の商標を出願した」と説明。申請には、コスプレや個人の趣味に支障がないような配慮もみられる。

 今回の出願で、柄が商標として認められるのは難しいとの見方が強いが、知的財産権に詳しい藪田崇之弁護士は「鬼滅ブームの高まりで作品をイメージするようになった柄もあり、文具など適用範囲によっては登録される可能性もある」としている。作品の大ヒットから消費者側も「緑と黒の市松模様」だけで「鬼滅の刃」を連想してしまう心理があり、特許庁の判断が注目される。
 既に「鬼滅」の物語は完結し、今月4日に最終23巻が発行されたが、ブームは勢いをますばかりだ。公開中の映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は興行収入302億円を突破し、歴代1位「千と千尋の神隠し」の316億8000万円を超えることが確実視されている。歴史的ヒットの中で、商標バトルも過熱している。

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