代表選手選考へ「見える化」導入―全日本野球協会

[ 2021年9月14日 10:30 ]

山中正竹会長
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 【伊藤幸男の一期一会】アマ野球の代表団体、全日本野球協会(BFJ)は来秋に中国で開催されるアジア大会の日本代表候補とされる社会人約90選手のデータを公開すると発表した。選手個々の能力を「見える化」して技術向上への指標を明確にしつつ、代表選考の透明性を図るためで、17日からBFJの公式サイトで公開される。データは11月下旬の都市対抗以降、さらに来春と計3回アップデートされる。

 第1回のデータは7、8月に行った合宿で選手のパフォーマンスをポータブルトラッキングシステム「ラプソード」で計測。投手は球速だけでなく平均回転数やホップ成分など、野手は打球速度やスイング速度、飛距離などを協会HP上にアップしていく。山中正竹会長は「これからの野球界はより科学の分野に力を入れて、技術や指導の向上につなげていきたい」と話した。

 協会は未知の相手と争う国際試合だからこそ、国内の選手選考はあらゆるデータから絞り込むべきと捉えている。もはや経験則に基づく選考や戦術は実情に即していない。たとえば「ボールが伸びる」とか非科学的根拠ではなく、ホップ成分の多さで判断していけば、より空振りが取れる投手を国際舞台のマウンドに送り込める。筒井崇護副会長は「以前の“…ジャパン”とか監督の力量に頼るのではなくて、組織として戦う」チームを目指していくと明かした。

 社会人代表候補のデータ公開に踏み切った理由はもう1つある。ジュニア世代を懸命に育てる指導者層に、トップ選手のパフォーマンスを将来の目標にして欲しいことだ。旧態依然の指導法ではなく、正しいトレーニング法を通じ考えながら鍛えていけば、決して届かない数値ではない。もちろん協会HP上では指導者向け講習の情報を積極的に載せている。今回の「見える化」が、野球人口減少の歯止めにつながることを期待している。

 私も科学を取り入れた協会の試みが、令和の野球界へ刺激を与えていくはずだと信じたい。 

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2021年9月14日のニュース