阪神2軍18連勝を支える“扇の要”栄枝ロングインタビュー「組んでいる投手に1軍で活躍してもらいたい」

[ 2021年9月14日 16:35 ]

練習でノックを受ける栄枝(撮影・坂田 高浩)
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 2軍新記録を更新する18連勝中と、快進撃を続ける阪神で輝きを放つのが、ドラフト4位の栄枝だ。18連勝中は13試合で先発マスクを被り、リードと強肩で貢献。3月下旬に右肋骨を疲労骨折したが、6月の復帰後は捕手として先発した試合で19勝2敗4分けと結果を残している。扇の要が明かす、3冊のノートの存在、そして2軍で組む投手への思いとは――。

 ―実戦復帰後、先発マスクだと19勝2敗4分け。意識はある
 「そうですね。ずっと座って、負けてないなとは思ってて。負けた2試合は、はっきり覚えてるんですよ。それぐらい、印象強かった。結構、自分でやりたいことができなかった2試合やったので。それを、糧に守備練習だったりとか、やってきたので。そういうのが、いい結果に繋がって、自信持ててやれてるのが、勝てるゲームになってるのかなと思います」

 ―負けた2試合は具体的に何ができなかったのか。
 「一つ目は、一つ目というか、両方甲子園の試合だと思うんですけど。甲子園のソフトバンク戦だったと思う。一回目のソフトバンク戦は怪我して、復帰してから初めてマスクかぶった試合やって、もう出るだけでいっぱいいっぱいになっちゃった。ブロッキングだったりとか、そういうのも全然ボロボロでしたし、そういうので引っ張れなくて、大敗してしまって。二回目も、先発がエドワーズやったと思うんですけど。ソフトバンク戦で。久しぶりの先発やっていうピッチャーに対して、自分がうまく引っ張れなかったっていうのが、若干失点に繋がって、こっちも一点も取れなかったんですけど。そういう、そこから学んだ。もうちょっと準備をして、こういう感じで考えていけば、良かったなとか。だから、次の試合ではピッチャーと相手のバッターの相性を考えて、組み立てていこうとか。そういうのを学んだ試合やったなと思います」

 ―12日広島戦で石井大の登板時にマウンドへ行ったのも、そのような意識からか。
 「中継ぎのピッチャーとかは、それまでの相手バッターの傾向だったりとか、見てくれてるとは思うんですけど、感じることやったりとか、トップバッターの情報とかは、入れてあげたいなと。『今日、ストレート打ってます』とか。あとは、やっぱりピッチャーがマウンドに上がって、今日はこうしたいっていうのがあったら、そういうのをそこで聞くようにして、組み立てるようにしようかなというのはあります」

 ―怪我で野球から離れ、精神的に落ち着くことができた
 「結構いっぱいいっぱいだったところは、キャンプ一軍に帯同して、本当に覚えることとかも、ピッチャーとのコミュニケーションとかも本当に覚えることがいっぱい過ぎて、気持ち的にも余裕がなかったのが、守備にもバッティングにもつながってたのかなとは思っていて。怪我したことはあまりよくないですけど、プラスに捉えて、その期間中にいろんな一軍の試合とか見て、ファームの試合も見て、この投手はこういう組立て方なんやと学べて。そういうのが、怪我明けてからやっている分余裕を持ってできているのかなというのはあります」

 ―頭の整理の点でノートを3冊使っていると。どういう経緯でいつから
 「もともと一冊つけていて、それには本当にピッチャーの特徴やその人のサインだったりとか、そういうのを片っ端から書き込んでいって、この人と組むとなったときに、バンっとみて、こういう感じやったなとか、思い出してやれるように。当たり前なんですけどメモを取ることは大事だと思って」

 ―3冊に分けたのはいつから
 「キャンプ終わったあたりでもう一冊チームの人からもらって、それも同じようなノートなんですけど、それにはチームのこととか、サインとか、こんなこと走塁で言われたなとか、バッティングでは、守備ではこんなこと言われたなとか。あとは試合中とかに、相手の戦略とかこのバッターはこんなやなとか、そういうのをそのノートに書いてます」

 ―プロに入って情報量の多さで3冊になった
 「そうですね、その2冊は常にベンチで座るときに一緒に持って、なんかあったらそれを見直して、メモ取ったりとか。もう一冊はその日の振り返り。今日の組み立てはどうだったとかのんで、それは帰ったときにまた試合見直して、自分でやります。時間ある時に見直して、引き出しになってますね」

 ―振り返りはどのあたりまで
 「大事やから書いておこうとかじゃなくて、時間ある時に、こんなことあったなという感覚ですね。大事なことも書いてますけど、それは自分のなかでわかってるので、こうやったなーとか意識せなあかんなとか、振り返るのがいいと思ってノート取ってます」

 ―最近佐藤輝が2軍に合流したがどんな話をしている
 「だいたい僕が“きょう調子どうよ?”みたいなこと言って。昨日の試合終わりとかだったら“もう思い出したん?”とか、(佐藤輝が)“もう10日で戻るわ”とか言っていたりして。今日もバッティングの時とか“まぁまぁ、いい感じ”みたいな感じで言ってたんですけど。きょうはちょっと打てなくて落ち込んではいたんですけど。やっぱり上にいる選手だと思うので、頑張って欲しいです」

 ―キャンプでは一緒に。こうやって久々に佐藤輝と練習を一緒にして、変化は
 「やっぱり新人ぽくないなというのは感じますね。風格はあるなというのは(感じます)。すごいんで。周りも新人なんですけど、気を使っていないというか。それがあいつのいいところじゃないですけど、マイペースでやるのはいいと思います」

 ―ルーキーみんなが活躍。寮で話は
 「ありますね。それこそ、輝(佐藤)が1軍にいたときは、なかなか(寮内で)すれ違う時間とかはないんですけどいつも僕が『調子どうや?』とか言って、『疲れてるなあ』と(佐藤輝が)返してきたりとか。中野さんとかもあの人は常に(ヒットを)打っているので『中野さんきのうナイスバッティングですね』とか言ったら、『いやいやいやいや』みたいな。あと将司(伊藤)さんにも『ナイスピッチングです』とか言ったら、『ありがとう』みたいな、そんな感じなんですけど。ホントそれくらいしか会話はできないんですけど、まあ頑張っているなと感じます」

 ―やはりそこは捕手として回し役になるのか
 「僕もやっぱり気になるので、『あれよく打ちましたね』とか『何を考えていたんですか』とか気になれば聞いたりしてますね」

 ―ファームの正捕手として優勝に導きたい
 「そうですね。優勝に導くというのはあるのですが、一番は(バッテリーを)組んでいるピッチャーに1軍上がって活躍してもらいたいなという気持ちが強くて。自分なんか村上とか(2軍で)抑えて上に上がって、打たれましたけど。そういう上がってくれるのが、僕は選手で自分が頑張らないといけないのにすごくうれしくて、そうやってできていることが本当にキャッチャーやっていて良かったなというのはあります」

 ―小川の活躍はうれしい
 「そうですね。何回か組んでいたピッチャーで、上で躍動していて、下にいるときは『あかん、もうだめかもしれない』とか(小川が)言ったりしていた時期もあったりしたんですけど、上でバチバチ抑えて、勝利の方程式みたいになって、次会ったら『何言ってるんですか』と言いたくなりましたね。『めっちゃ楽しそうにやってますね』って」

 ―村上、石井大が1軍の経験で変わったことは
 「ファームでやっていることは変わってなくて、上に行ってどうだったかは聞くんですけど、『バッターのレベルが高い』というのは言うので、『ちょっと甘く入ったりしたらすぐとらえられるし』みたいな(ことを言う)。だからもっとファームで挑戦するじゃないけど、もっと攻めて、厳しくいかなあかんなという話も何回かして、今日(12日)もしましたね」

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