【内田雅也の追球】阪神メッセ 機動力封じの先頭打者がカギだった

[ 2016年6月12日 09:30 ]

<日・神>回の先頭打者を出したのは2度だけ。好投キラリのメッセンジャー

交流戦 阪神3―0日本ハム

(6月11日 札幌D)
 夏の甲子園大会で全試合完封の偉業を達成した投手が史上2人いる。1939年(昭和14)の海草中(現向陽高)・嶋清一(戦死)と、48年(昭和23)小倉高の福嶋一雄で、ともに野球殿堂入りを果たした。特に嶋は準決勝、決勝を連続ノーヒットノーランに抑え込んだ。伝説の左腕である。

 快投を支えたのが監督・杉浦清(後の中日監督)から徹底されていた「ゲット、ナンバー1」(回の1番目を取れ)である。当時中堅手だった古角(こすみ)俊郎から「先頭打者を全力で打ち取りにいく。これが失点しない鉄則だ」と直接聞いた。現に嶋は大会中45イニングで先頭打者の出塁を許したのは3人だけだった。

 こんな定説に古いも新しいもない。今も十分に通用する。

 今回の3連戦に入る直前、9日に日本ハム球団広報部がツイッターで「今季、ファイターズ投手陣が先頭打者出塁で失点する割合は約45%」とつぶやいていた。

 統計的に、この数値は毎年、どの球団でもほとんど変わりがない。大体、回の先頭打者が出塁すると5割前後の確率で点が入る。当然ながら、攻守両面で回の先頭打者がカギを握る。

 この点で連敗ストッパーとなった阪神先発ランディ・メッセンジャーの投球が光る。7回を4安打無失点。回の先頭打者に出塁を許したのは2回裏(田中賢介中前打)と6回裏(西川遙輝右前打)の2度だけだった。

 しかも、この2度の無死一塁のピンチの芽を味方守備陣が好守で摘んでくれた。2回裏無死一、二塁は捕手・岡崎太一がバント小飛球に捕球モーションを入れて、2―5―6で併殺に仕留めた。6回裏は二塁手大和の美技があった。「ピンチの時ほど球数を使え」とは野村克也の格言だが、6回など25球を費やして無失点でしのいだ。

 相手・日本ハム打線はパ・リーグでチーム打率最高、本塁打最多の強力打線だ。加えて犠打、盗塁がリーグ最多と機動力も使ってくる。無死の走者を背負えば、足や小技を絡めた多彩な攻撃がうるさい。回の先頭を打ち取ることで、作戦までも封じていた。バントは皆無。走者がスタートを切ったのは1度だけ(6回裏の西川)だった。

 メッセンジャーはここ5試合33イニングで先頭出塁は9度。被出塁率・273と安定感が際だつ。古い定説を思い起こさせる快投だった。 =敬称略= (スポニチ編集委員)

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