安楽 155キロも調子悪かった…“バロメーター”帽子落ちた

[ 2013年8月15日 06:00 ]

<三重・済美>帽子を飛ばし力投する済美・安楽

第95回全国高校野球選手権2回戦 済美9―7三重

(8月14日 甲子園)
 怪物が苦しみながらも初戦を突破した。今センバツで準優勝した大会屈指の剛腕、済美(愛媛)の安楽智大投手(2年)が第2試合に登場したが、9回に三重打線に痛打を浴びて5点を奪われるなど、11安打7失点。気温37度の中、137球を投げて完投し、甲子園に球速表示が導入された04年以降では、歴代1位タイの155キロを計測したものの、立ち上がりと9回に課題を残した。

 炎天下のマウンドには、さえない表情の安楽がいた。7点リードの9回。先頭の4番・宇都宮に146キロ直球を右前へ運ばれると、歯車は狂い出した。3連打。力勝負一辺倒の直球をことごとく痛打された。この回5安打を浴びて5失点。最後は2死二塁で二ゴロに仕留めたが、到底満足できる内容ではなかった。

 「最後は自分が情けなくて、申し訳ない。単調なピッチング。(出来は)10点くらいです」

 湘南乃風の「炎天夏」を聴いて臨んだ一戦。初回、先頭の浜村に左前打を浴びると、1死から長野にはスライダーを右越え三塁打され、先制点を許す。さらに宇都宮への初球に暴投して2失点。2死後、5番・島田を二ゴロに打ち取った直球は155キロを計測した。甲子園のスコアボードに球速が表示されるようになった04年以降では、07年夏の仙台育英・佐藤由規(現ヤクルト)に並ぶ最速記録となった。

 しかし、愛媛大会で自己最速の157キロを出した右腕は「指の掛かりが悪かった。少し抜けていたので空振りを取れなかった」と本調子ではないことを感じていた。安楽には調子のバロメーターがある。それは帽子だ。かつて、元巨人の堀内恒夫氏を引き合いに出して語ったことがある。「堀内さんは帽子を飛ばすと、調子が良かったみたいですが、自分の場合は調子が悪い時。軸がぶれていたら帽子が落ちる」。この日は何度も帽子が飛んだ。理想の球とはかけ離れた155キロに意味を見いださなかった。

 9回の課題も露呈した。今春センバツの2回戦の広陵(広島)戦でも3点差を追い付かれた。この試合も先頭に安打を許したことで「流れが悪くなる。まずいなと思ってしまった」と言う。中盤以降は100キロの緩いカーブも効果的に使っていたが、この回は精神的に追い詰められたかのように、直球を続ける単調な投球で失点を重ねた。

 それでも137球の熱投で、苦しみながらも初戦を突破した。本調子ではない中で叩き出した「155キロ」は今後に期待を抱かせる。「もっと3年生と野球がしたい。次はしっかり投げたい」。安楽は最後まで笑みを見せることはなかった。

 ▼済美・上甲正典監督(安楽は)正直なところ、県大会が終わって肩も肘も腰もパンパンだった。(100%で)投げられる状態ではなかった。でも、この暑い中よく投げた。

 ▼済美・盛田(負傷交代した山下に代わり、初回の守備から途中出場し3打点)どんなときも出番が来ると思って準備している。山下さんがいなくなった大きな穴を少しは埋められてよかった。

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