【野球のツボ】プロは高校球児のココを見る

[ 2013年8月15日 16:05 ]

フィールディングの良さが光った有田工・古川

 酷暑の日本列島で、甲子園では連日、熱戦が繰り広げられている。ひいきのチームを応援する人、故郷の代表にエールを送る人。楽しみ方にもいろいろあるが、私はやはりプロ野球人。「将来、プロで活躍する高校生の逸材はいないか」という目で、テレビの前に座る毎日だ。プロ野球人はどこを基準に高校生をチェックしているのか。ネット裏に陣取るスカウトそれぞれに個性があると思うが、「高代流」の見方を参考までに紹介したいと思う。

 高校生を見るときには、完成度より将来性だと思う。日本ハム・大谷、阪神・藤浪のように、プロですぐに活躍するケースもあるが、これはまだレアケース。プロの2軍で2、3年鍛えて、1軍に上がれるような素材を発掘するのが、高校野球チェックの基本だと思う。そこで目が行くのは、やはり足と肩だ。多少、荒削りでも、足と肩が水準以上なら、チェックを入れる。投げる、走るの基本動作が、将来性を占うポイントになる。バッティングがプロのレベルにはなくても、投げるときのリストワークが非凡なら、バッティングも伸びてくると予測ができるのだ。

 足と肩をチェックポイントにしながら、まず見るのは投手。私の場合は野手だから、投手を見るときも「この子を野手にしたら、どうだろう」という見方で、動きを追う。野球センスがある子がエースという流れは、高校生レベルではまだ残っている。外野手としての能力、ショートとしての資質、イメージをしながら、高校野球を見ると、時間が経つのを忘れてしまう。

 自慢話に聞こえてしまうかもしれないが、広島でのコーチ時代に、一人の選手を発掘したことがある。内野手を球団は探している、と聞いたので、担当者に「夏に甲子園に出ていた敦賀気比の背番号1は内野手として使える」と進言した。球団も調査の上で、指名に踏み切った。それが東出だ。

 さて、今年の甲子園球児はどうか。前評判が高いのに、それほどでもないと感じた選手もいれば、素材として面白いと感じる選手もいた。ちょっと気になったのは佐賀・有田工の古川投手。バント処理のときに見せたボールに向かうスピードと、捕球してからの素早い動作は内野手向きだと感じた。バッティングもスラッガータイプで将来性を感じさせた選手だった。

 もうひとつのチェックポイントを最後に紹介したい。顔だ。イケメンを探すわけではない。頭の回転が良さそうで、集中力を持っている。そういう資質は顔に表れる。いい顔をした選手の全力プレーは暑さも忘れさせてくれる。(前WBC日本代表コーチ)

 ◆高代 延博(たかしろ・のぶひろ)1954年5月27日生まれ、58歳。奈良県出身。智弁学園-法大-東芝-日本ハム-広島。引退後は広島、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファ、オリックスでコーチ。WBCでは09年、13年と2大会連続でコーチを務めた。

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