「舞いあがれ!」飛行訓練場面 NHK制作統括「パイロットの適性は舞の個性と合致」

[ 2022年12月13日 08:30 ]

連続テレビ小説「舞いあがれ!」で舞を演じる福原遥(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】13日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第52回で、パイロットを目指すヒロインの舞(福原遥)が小型機での単独飛行訓練で危機を乗り越える場面が描かれた。

 制作統括の熊野律時チーフプロデューサーは「映像的に工夫したので、臨場感のある場面になったと思う。いろんな映像を組み合わせていて、実際に福原さんが乗って飛んだ場面もある。どれが実際に乗って飛んだ場面でどれが違うのか、ほとんど分からないと思う。もちろん、いずれも操縦はプロの方にお願いした」と話す。

 操縦席には訓練を受けた人でないと乗ることができない。福原も事前に講習を受け、操縦かんを握る際に必要な「航空機操縦練習許可書」を取得し、撮影前に小型飛行機の操縦を体験した。

 福原は「実際に訓練区域内を飛行し、少し曲がったり下がったりさせてもらいました。操縦かんを少し動かすだけで機体は結構曲がるので緊張しました。車を運転した経験がなかったら、もっと焦っていたかもしれないです。景色もすごくきれいで感動的でした。操縦席からの景色は客席からとは全然違って目の前一面が空なんです。雲の上だから本当に夢の中のようで、『今、現実なのかなぁ』と不思議な感覚になりました。小型飛行機のプロペラの音がすごく体に響いたのも、印象に残っています。お芝居するうえでとても役立つ体験でした」と話している。

 第52回で、舞が乗った小型機は風に揺れながら着陸。臨場感があり、朝ドラ史上屈指の緊迫の場面となった。

 熊野氏は「とても苦労して撮影した。航空大学校に全面協力していただき、同校の帯広でロケをした。その他、撮影でお世話になった方がたくさんいる。朝ドラでこれまでやったことのない手法、映像技術を駆使して臨場感のある飛行シーンを撮った。迫力のある映像になったと思う」と語る。

 制作側は航空大学校での事前取材で「どんな人がパイロットに向いているのか?」と質問。「突出した能力を持つ人というより、さまざま人とコミュニケーションをとる能力を持つ人」との答えを得ていた。

 熊野氏は「フライトは不測の事態が起きるという前提で考えるべきものなので、不測の事態が起きた時に速やかにいろんな人と話をして情報を集めて判断できる人がパイロットにふさわしいということだった。それはまさに、誰かのことをちゃんと見て、その人の気持ちを受け止め、良い形を考え、力を合わせて一緒に進んでいくというヒロイン・舞の個性に合致している部分だと思った。舞は仲間たちが壁にぶち当たった時、一緒にどう乗り越えて行くかを考え、そこで成長していく。そうしたところがみなさんに伝わることを願って制作している」と語った。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年12月13日のニュース