前田吟「山田学校の同級生」佐藤蛾次郎さん追悼　渥美清さんも心を許すキャラ「うらやましかった」

佐藤蛾次郎さん急死

2019年12月、映画「男はつらいよ」公開前夜祭で記念撮影する（前列左から）佐藤蛾次郎さん、前田吟、倍賞千恵子、山田洋次監督ら
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　「男はつらいよ」シリーズで佐藤蛾次郎さんと長年共演してきた俳優の前田吟（78）がスポニチ本紙の取材に「山田学校の同級生」と悼んだ。

　2人は1969年の第1作からシリーズに出演。同い年で「がじやん」「ぎんちゃん」と呼び合った。飲み仲間で、演技について話すことはほとんどなかったというが「明日をも分からない世界で俳優を目指している同士。口に出さなくても映画に出る重みを分かり合えた」と振り返った。

　佐藤さんは明るく人懐っこい性格で、寅さんファミリー全員に可愛がられた。共演者とプライベートでの関わりを持たない渥美清さんも佐藤さんには心を許したという。2人きりでスナックに行きカラオケで「男はつらいよ」を歌ったことがあったといい、前田は「渥美さんがそんなことするなんて前代未聞。誰の懐にも入っていける彼がうらやましかった」と語った。

　最後に会ったのは、19年にシリーズ50周年記念作品として公開された「男はつらいよ　お帰り　寅さん」の舞台あいさつ。元気だったといい「“どっちが先にくたばるかな。じゃんけんで決めるか”なんて冗談を言い合った」と話した。

　突然の別れに「約束が違うだろ。同時に逝きたかったのに、先に逝っちゃったな」と無念の思いを口にした。盟友に「僕はあと5年くらいはこっちでやることがあるから。先に天国で渥美さんとカラオケでもやっててよ」と呼びかけた。