料理が得意だった佐藤蛾次郎さん 渥美清さんに薬膳カレー、経営のパブでも名物メニューに

[ 2022年12月13日 05:02 ]

俳優の佐藤蛾次郎さん
Photo By スポニチ

 人気映画シリーズ「男はつらいよ」の源公役をはじめ多くの映画やドラマで活躍した俳優の佐藤蛾次郎(さとう・がじろう、本名忠和=ただかず)さんが10日までに、虚血性心不全のため東京都世田谷区の自宅で死去していたことが12日、分かった。78歳。大阪府出身。

 佐藤さんは11人兄弟の10番目の四男。「毎日が修学旅行のよう」で自分を主張しないと埋もれてしまう環境の中、小学生で「俺は人に笑われる人間になるんだ」と自ら児童劇団に入った。個性的な風貌とキャラクター。「映画館で笑いが起きると役者冥利(みょうり)に尽きる」とサービス精神たっぷりで周囲を魅了した。

 料理が得意。渥美清さんが「男はつらいよ」の撮影現場で晩年、楽しみにしていたのが佐藤さんの「寅さんカレー」だった。セロリや朝鮮ニンジン、クコの実など薬膳が入った栄養たっぷりのオリジナルレシピ。「渥美さんやみんなの健康を願って始めた」と、撮影のたびにスタッフや出演者に振る舞うのが恒例となっていた。多いときには200人前を調理。シリーズ最後の作品となった「寅次郎 紅の花」(95年)の現場では、すでに体が弱っていた渥美さんが大盛りを平らげたという。

 その味は、妻で元女優の和子さんと銀座にオープンしたパブ「蛾次ママ」でも名物メニューとなった。佐藤さんは調理場に立ったり、カラオケで歌を披露するなど店を切り盛りした。2020年12月に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で閉店したが、24年にわたり、寅さんファンに愛された。

続きを表示

この記事のフォト

2022年12月13日のニュース