現地リポートのTBS伊藤隆佑アナ 松山Vに思う「たくましい日本の顔に…感慨深いです」

[ 2021年4月13日 05:30 ]

米男子ゴルフツアー マスターズ最終日 ( 2021年4月11日    ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC=7475ヤード、パー72 )

TBSの中継番組のリポートを担当し、松山英樹とともに72ホールを回った伊藤隆佑アナウンサー。松山のサイン入りフラッグを手に笑顔を見せる(左の色紙は11年に松山がローアマチュアに輝いた際のサイン)
Photo By 提供写真

 男子ゴルフの松山英樹(29)が日本男子初のメジャー制覇を達成した「マスターズ」で、4日間のラウンドに密着したのがTBSの中継リポーターを務めた伊藤隆佑アナウンサー(37)。月曜日の練習ラウンドから松山の一挙手一投足を追い、72ホール、278打のすべてを目撃。歴史の証人となった伊藤アナが、スポニチのリモート取材に応じた。

 優勝の瞬間は、18番ホールのグリーン左奥のリポートエリアにいた。「松山選手が派手なガッツポーズをしなかったので、“おおっ!”というよりも、“あぁ、勝ったんだ…、優勝したんだ…”って。大喜びと言うよりは、かみしめるような感じでしたね」。心は熱くなりながらも、冷静にその瞬間を見届けた。

 グリーンの左奥は、パーパットの際の表情とストロークが見えるベストアングルだった。「その時の松山選手は、“たどりついたな”という表情に見えました。私も4日間、278ストロークの全部を目の前で見てきたので、本当に同じような気持ちでした。これが最後の1打だなと、ご本人も思っていたんだと思います」。松山はパーパットを惜しくも外したが、返しのボギーパットを決め、見事に優勝をつかみとった。

 グリーンを囲んだ多くのパトロンは総立ち。スタンディングオベーションで松山を祝福した。伊藤アナはタイガー・ウッズが優勝した2年前も、グリーン奥の同じ場所にいた。「わき起こったタイガーコールは、今までスポーツの現場で働いていて聞いたことのない歓声だった。でも、今回はそれとはまた違う。新しい日本のヒーローが生まれて、それをパトロンが迎え入れてくれる温かさを感じましたね」と、ニューヒーロー誕生の瞬間をしみじみと振り返った。

 日本列島が沸いた快挙。多くの解説者が「笑顔が多い」と指摘したように、一番近くで見ていた伊藤アナもこれまでとの違いを感じていた。「松山選手のマスターズはほとんど見てきてるんですけど、こんなに穏やかな顔をしてたんだっけなって。いつも鬼気迫る表情で、何かたくさんのものを背負い込んでプレーしているような印象があったんですが、今週は本当に1打1打に思いを乗せて、時には笑顔もありながらのプレーでした。ゴルフを楽しんでるという表現が適当かわかりませんが、10回目のマスターズをのびのびと自然体で回っているような気がしました」と、メンタル面の変化を感じ取っていた。

 伊藤アナがマスターズ中継に携わったのは、松山がアマチュア時代に初出場し、ローアマを獲得した2011年。「ラウンドが終わるたびにTBSの中継チームとご飯を食べて、松山選手がおにぎりを持って帰ったり。いろんなことを話しました。“明日も頑張ってね”と触れ合っていたので、あの時の19歳の青年が、こんなにもたくましい日本の顔になったんだなと感慨深いです」

 グリーンジャケットに袖を通してのガッツポーズで見せた笑顔には「解放されたんだな」という印象を持ったという。「これまでも苦しいことがたくさんあって、今回のラウンドにも悔しさがたくさんあったと思う。でも、最後に素直な気持ちを見せられたんだと思います」と、松山の優勝を心から喜んだ。

 うれしかったのは優勝インタビュー。これまで何度もマスターズの現場で松山をインタビューしてきたが、「ご機嫌うるわしくなく、まったく答えてもらえなかったこともありましたので」。その苦い思い出があるからこそ、優勝に立ち会えた喜びはひとしおだった。「笑顔のインタビューができて幸せでした」と笑顔で明かした。

 そのインタビューで時間が足りずに聞けなかったのが、今回のベストホール。「聞きたかったんですけどね、時間がなくて…」。伊藤アナ自身が挙げたベストホールは、イーグルだった初日の8番ホール。「フックラインのイーグルパットを決めて、本当に勢いづいて、一気に流れに乗っていったのかなと思います」と、初日のスーパーパットを快挙の出発点に挙げた。

 そして「今思うと…」と語り出したのは、松山がオーガスタに入った月曜日の練習後のこと。「キャディーさんの番号がエントリー順で決まるらしいんですけど、松山選手のキャディーさんの番号が78番だったんです。“78ってなんかいいと思うんだよな”と言ってて。普段あまりそういうこと言わない方。“78、フィーリングねフィーリング、良いと思う”と言ってたので、今振り返ると、身体のコンディションもメンタル的にも良い形で入って来てたのかなと、こういう最終日が見えていたのかなと思いました」。その時に松山は「今回が85回目でしょ」とも言っていた。「選手の方って何回大会とか意識してないと思ってたんですけど、85回ということで、東日本大震災から10年、ローアマだったのが75回大会。何か胸に期すものがあったんじゃないかと想像してました」と振り返った。

 TBSは1976年からマスターズを中継。今回は、その中継を解説者として長年支えたゴルフジャーナリストの岩田禎夫さん(16年死去)の力を借りたという。「実は岩田禎夫さんのお骨をリュックにしのばせて、ともにリポートしていたんです。私にとっても、岩田さんはゴルフの先生でした」。松山が優勝すると信じて、岩田さんとともにオーガスタを歩き回った。

 リポート中には、ドキュメンタリーを制作している現地テレビ局の逆取材も受けたという。「“松山選手の活躍が日本ではどんなムーブメントになっているんだ”とか、梶谷翼選手がオーガスタ女子アマで優勝したこともあって“日本のゴルフどうなってるんだ、すごいじゃないか”という感じでした」と明かし、日本勢の快挙は世界を驚かせていることを実感した4日間だった。

続きを表示

「美脚」特集記事

「嵐」特集記事

2021年4月13日のニュース